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  1. 山口県議会 2023-02-01
    02月27日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 5年 2月定例会   令和五年二月山口県議会定例会会議録 第二号      令和五年二月二十七日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第二号      令和五年二月二十七日(月曜日)午前十時開議  第一 代表質問  第二 議案第一号から第六十一号まで(質疑)  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第六十一号まで                会議に出席した議員(四十七人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(なし)                                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       近 藤 和 彦 君                    総合企画部長      松 岡 正 憲 君                    産業戦略部長      前 田 安 典 君                    環境生活部長      藤 田 昭 弘 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      高 橋 博 史 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      京牟礼 英 二 君                    財政課長        安 藤 公 浩 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        今 村 政 裕 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        木 村 香 織 君                    公安委員長       今 村 孝 子さん                    警察本部長       中 西   章 君                    代表監査委員      河 村 邦 彦 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員長       上 野   清 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        國 吉 宏 和 君                    事務局次長       原 田 和 生 君                    総務課長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課長      岡 本 正 敏 君                    政務企画室長      國 弘 敏 和 君                    秘書室長        植 木 啓一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          佐 伯 和 樹 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第六十一号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友広巌君。    〔友広巌君登壇〕(拍手) ◆(友広巌君) 皆さん、おはようございます。自由民主党の友広巌です。令和五年二月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事、教育長及び県警本部長に質問をいたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 今月七日、岸元防衛大臣が体調不良のため、大変残念ながら任期半ばで衆議院議員の職を辞されました。平成十六年に当選されてから約十八年間、我が国の外交・防衛の政府要職を歴任されるとともに、私ども地域の様々な声にも真剣に対応されるなど、日本を守り本県の未来を開くため、まさに力の限りを尽くされました。 改めまして、その御功績と御苦労に対し、ここに深い敬意と感謝の意を表し、何よりも一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。 昨年二月二十四日の勃発から一年がたった今もなお、ロシアによるウクライナ侵攻はますますエスカレートの様相を呈しています。 また、急速に軍備増強を進める中国や過去に例のない頻度で弾道ミサイルを発射する北朝鮮など、我が国を取り巻く安全保障上の課題や脅威のレベルは増す一方です。 力による一方的な現状変更という許されざる暴挙が、一国の指導者の野心により現実化してしまった現在の国際情勢の中で、我が国の平和と安定、国民の生命・財産、そして国土を守るためには、こうした暴挙を無謀なものとして思いとどまらせる抑止力を、自国として万全かつ速やかに備えておくことが不可欠であります。 岸田内閣においては、昨年十二月に、安全保障政策の基軸となる新たな三文書を策定し、防衛体制の抜本的強化など、緊迫する国際情勢を踏まえ、我が国の安全保障政策を実践面から大きく転換をする決断をされたところですが、我が会派といたしましても、国の抑止力を着実に向上させるための責任ある判断であることを確信しているところであります。 さて、我々山口県議会議員の今期任期もあと二か月となり、県民の皆様の真を問う統一地方選挙が、いよいよ間近に迫ってまいりました。 今期、我が会派は、コロナ禍という経験のないパンデミックに県全体が直面する中、県民の命と健康、そして雇用と暮らしを守り抜くため、ちゅうちょのない財政出動や機動的な対応を県に訴え、医療体制の万全の確保はもとより、休業要請協力金やエッセンシャルワーカーへの支援など、過去に例のない規模とスピードによる様々な支援策を県民の皆様に届けてまいりました。 また同時に、本県の未来を見据え、ポストコロナ社会におけるデジタル改革の必要性や、脱炭素化に対する本県の産業特性を踏まえた対策の重要性、また戦略的な海外展開の再起動などを繰り返し訴え、村岡知事の県政運営にしっかりと反映されてきたところであります。 今期の最後となる本定例会におきましても、我々自由民主党会派は、足元の物価高騰をはじめとした県民の皆さんが直面をしている課題をしっかりと県政に届けるとともに、本県が着実に成長していくよう、未来に向けた骨太な議論を行ってまいる所存であります。 そして、来る統一地方選挙衆議院補欠選挙におきまして、我が自由民主党山口県連は、県政・国政与党として、実績と実現力、本県の未来に対する思いを掲げ、また、我が国の暮らしと安全を守り抜く責任と覚悟を訴え、多くの県民の皆様の負託を頂けるよう全力で戦い抜く覚悟であることを申し上げ、質問に入ります。 初めに、令和五年度当初予算についてお尋ねいたします。 三年にわたるコロナ禍にようやく出口が見え始め、社会経済は平時に戻りつつあります。 しかしこの間、少子化は一層深刻度を増す危機的な状況となり、人手不足が経済回復の足かせとなるなど、コロナによる影響は、従来からの地方の課題をさらに進行させる結果となっています。 また、エネルギー価格高騰に伴う物価高は、あらゆる県民生活や事業活動にとって大きな負荷となっています。 県政がこうした様々な課題を抱える中、県では、昨年十二月にやまぐち未来維新プランを策定されたところであり、来年度は新たな県づくりを本格的にスタートさせる年となります。 冒頭で申し上げたように我が会派は、ポストコロナの社会を見据え、デジタル改革や産業脱炭素化への対応など、困難でもこれを乗り越えることで未来を切り開いていく取組に、県としても果敢に取り組まなければならないと、繰り返し申し上げてきました。 また、一月初旬には、自由民主党山口県連として、市町や友好団体から頂いた約八百件に及ぶ要望を五十九項目の超重点要望事項として取りまとめ、村岡知事に要望したところでもあります。 このたび提出された当初予算案は、こうした我が会派の要望も踏まえ、本県の未来に向けて、三つの維新のさらなる進化に挑戦をする施策がしっかりと盛り込まれ、また、取組の継続性と実効性を担保すべき政策については、新たに基金も創設されようとしています。 加えて、我が会派が強く主張した物価高騰対策については、緊急的な対策に加え、ソフトランディングに向けた県内循環の仕組みづくりなどの中長期的対策も示されるなど、総じて、このたびの予算案は、私どもの要望に対し真摯に対応していただいたところであります。 平成二十六年にスタートした村岡県政も今年で十年目に入ります。知事がこれまで発言され取り組まれてきた様々な政策が、しっかりと実を結んでいくことが真に求められています。 未来維新プラン本格スタートに当たる来年度の当初予算により積極果敢に取組を進め、知事の描く未来図に向けて着実に成果を生み出し、その果実を目に見える形で県民の皆様の元に届けていただきたいのです。 また、そのためにも、物価高騰や地域社会の回復など、現下の課題にも、生き目のいくきめ細やかな対応をお願いする次第です。 そこでお尋ねをいたします。やまぐち未来維新プランに基づく新たな県づくりに向け、令和五年度当初予算に込めた知事の思いと、来年度の取組を進めるに当たっての決意を伺います。 次に、デジタル改革の深化・加速化についてお尋ねをいたします。 知事は、本県が抱える課題やコロナ禍がもたらした社会変革を未来への成長につなげるため、令和三年三月に策定された、やまぐちデジタル改革基本方針に基づき、地域のDX創出やデジタル人材の育成などに着実に取り組まれています。 もはや時代にデジタル技術は必要不可欠であり、AI開発でしのぎを削る諸外国の例を見ても、デジタル化によって人々の生活はより豊かで便利なものへと変化しています。 しかしながら、我が国においては、デジタルの恩恵が社会全体に浸透しているとは言い難い状況であり、紙のほうがかえって分かりやすい手続も残るなど、いまだ移行期から抜け出せてはいません。 本県においては、基本方針から二年が経過し、様々な実践に果敢に取り組んでおられる一方で、実証段階にとどまっているものも多くあり、デジタル改革の実現に向けては今がまさにその正念場であります。 先般策定された、国のデジタル田園都市国家構想の総合戦略では、デジタル実装に取り組む自治体数を二○二七年度までに千五百に引き上げるとの目標が掲げられ、そのために光ファイバーや5G環境、人材育成などの基盤整備を強力に推進することも示されました。 我が会派が度々訴えているように、地方においてこそデジタルを優先的に活用していくべきであります。デジタル改革にいち早く着手している本県においては、こうした国の政策と歩調を合わせながら、時に国に先んじるよう、デジタル実装スピード感を上げ、改革の果実を県民にしっかりと届けなくてはなりません。 医療、教育、防災、子育てなど暮らしに身近な分野において、これまでのAIや5G等の技術を活用した取組の成果をさらに発展させていく必要があります。 また、産業面においては、製造現場でのDXを実現し生産性の向上を図ることが重要であり、担い手不足・高齢化が深刻な農林分野においては、四月に供用が開始される農林業の知と技の拠点が核となり、スマート農林技術の現場への実装を加速することが、強く求められています。 デジタル改革によって得られる一つ一つの果実が、多くの県民の日々の暮らしや仕事、事業活動に浸透し、地方における豊かさの向上に結びつくものとなるよう、県では、デジタル実装を改革の目標に掲げ、これまでの取組を大きく発展させるよう、しっかりと進めていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。知事は、デジタル改革の深化・加速化に向けてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、産業脱炭素化戦略の推進についてお尋ねをいたします。 知事はこのたび示された、やまぐち産業脱炭素化戦略の最終案に沿って、十億円を上回るコンビナート企業群などへの支援策をはじめ、県組織の体制強化も打ち出されました。 具体的な取組やロードマップが示されたことにより、産業脱炭素化に対する方策がいよいよ目に見える形となってきたところであり、今後の実効性とその成果に、地元企業はもとより県民の皆様からも大きな期待が寄せられています。 一方で、我が国の脱炭素化に向けた動きは加速しています。先般、開催されたGX実行会議では、水素・アンモニアの導入促進など、今後十年間を見据えた取組が明示されるとともに、百五十兆円を超える官民協働のGX投資に向け、GX移行債の創設や二十兆円という大規模な政府資金の投入策が講じられようとしています。 さらに、現在審議中の国の来年度予算には、カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発や、クリーンエネルギー自動車の導入に対する支援も盛り込まれるなど、まさに施策を総動員して脱炭素化を推進しようとしています。 また、県内企業の動きも急であり、例えば、私の地元である周南コンビナートにおいては、企業間連携によって、アンモニアの供給網の整備や、カーボンリサイクル製品の製造、バイオマス発電などの取組に着手されています。 こうした研究開発や設備増強に対して、国の支援を着実に結びつけられるよう、県には、地域特性に応じたソフト面の支援を強化するなど、各企業・各地域の声に寄り添い、後押しをすることが強く求められています。 また、産業基盤の面からも、国際バルク戦略港湾の整備と並行して、カーボンフリーの新たなエネルギー供給の拠点であるカーボンニュートラルポート形成に向け、国、県が一体となって着実に取組を進めていかなければなりません。 もとより、事業変革に迫られる中小企業や、CO2の吸収源として重要な役割を担う農林水産業への支援も欠かすことはできません。 こうした点で、脱炭素化を強力に推進するために、県が組織再編により体制を整備されたことは時宜にかなったものと評価をしていますが、産業脱炭素化という社会全体の大きな変革を本県に取り込むためには、目に見える成果が不可欠なのであります。 県においては、前例にとらわれることなく新たな発想で取組を進められ、そして、これまで育んだ本県の優れた産業競争力を強化し、また飛躍することによって、県経済を成長軌道へと押し上げていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。本県産業が直面する脱炭素化への対応と産業競争力の強化・維持の両立を図るため、新たな戦略の具現化に向けて今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、幹線道路網の整備についてお尋ねいたします。 本県の強みを最大限に引き出し、新たな人や物の流れを創出・拡大するためには、その基盤となる幹線道路網の整備促進が不可欠です。 また、近年、頻発する大規模な自然災害から県民の皆様の安心や安全を確保するためにも、信頼性の高い道路ネットワークの構築は、極めて重要になっています。 このため、これまでも我が会派では、山陰道の全線開通をはじめ、下関北九州道路早期事業化岩国大竹道路事業促進など、幹線道路網の整備促進を強く訴えるとともに、関係の皆様と一丸となって国への要望活動も精力的に行ってきたところです。 その結果、遅れていた山陰道の三隅─長門間においては、昨年、ルート等を示して地元説明会が開催され、先月には、都市計画審議会が開催されるなど、事業化に向けた手続が進み出しました。 そのほか、俵山・豊田道路や木与防災など、既に事業化された区間についても、トンネル工事や橋梁工事が着実に施工されています。 また、下関北九州道路については、都市計画環境アセスメントを進めるための調査に移行し、環境アセスメントに関する住民説明会が開催されるなど、事業化に向けた歩みが進められています。 加えて、岩国大竹道路をはじめとする他の高規格道路や国道二号富海拡幅などの幹線道路についても、早期整備を目指し、工事や調査が実施されるなど、県内全域にわたり多くの事業が展開されています。 その一方で、県内の山陰道の整備率はいまだ二割に満たず、未着手区間も五割を超えているのが現状です。 下関北九州道路の事業化についても、事業手法の検討や環境影響評価都市計画の手続など、まだまだ多くの手続を行う必要があり、道路の整備は道半ばであります。 また、慢性的な交通渋滞や重大な交通事故の発生、自然災害による通行規制、視界を遮る生い茂った草木の繁茂などの課題の解消も急がれています。 安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するため、知事におかれては、このような本県の道路をめぐる課題を解消し、いまだ事業化されていない区間の早期事業化に向けた動きを加速化させるとともに、既に事業化された区間についても、早期完成に向け一層の事業促進を図るなど、幹線道路網の整備に強力に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。本県産業力強化や交流拡大を図り、災害時にも機能する信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、山陰道をはじめとする幹線道路網の整備に今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、教育行政についてお尋ねをいたします。 先月、政府は、新型コロナウイルス感染症の位置づけを見直すことを決定し、四月以降は学校でのマスク着用は求めない方針を示すなど、教育においてもコロナ禍の出口が見えてきました。 この三年間、学校現場では、全国一律での長期休業も経験する中、感染症の流行状況に応じてオンラインと参集型の授業を併用するなどの工夫もしながら、コロナ禍の中でも子供たちの学びを止めることなく教育を進めてこられました。 一方で、国の調査結果が示すように、活動機会の減少に伴う体力の低下や、子供たちの生活リズムの乱れ、学校生活上の制限などの生活環境の変化による不登校の増加など、コロナ禍は教育の分野に爪痕を残しているのも事実です。 また、本県が誇るコミュニティ・スクールの仕組みを活用した地域連携の取組や、運動会や文化祭といった体験的な活動が多くの制約を受け、停滞していたのも否めないところです。 今後、知・徳・体の調和の取れた伝統ある本県の教育力を取り戻していくためには、こうしたコロナ禍の影響を大きく受けてきたところにしっかりと目配りをしていかなければなりません。 同時に、コロナ禍の中で普及したデジタルツールやデータを活用して、個々の生徒に応じてきめ細やかに対応した学習を実現することも、これからの教育には求められます。 文科省では、今後、GIGAスクール構想により全国の小中学生に配布した約九百万台の端末から得られるデータを、学習のつまずきの発見や指導の改善に活用するよう検討が進められています。 本県では、高等学校段階を含む全ての公立学校に一人一台端末を整備しましたが、その活用には地域や学校によりばらつきがあるなど、あまねく学習効果が得られるにはいまだ至っていません。 国の知見も取り込みながら、このICT環境を最大限に活用し、児童生徒一人一人に応じた個別最適な学びを実現していかなければなりません。 県教委には、コロナ禍で制約を受けた子供たちの学びをしっかりと取り戻すとともに、それにとどまらず、より豊かで魅力ある学びへと本県教育を発展させていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。社会経済がコロナ禍から平時に戻る中、本県教育力の回復とポストコロナ社会における新たな学びの実現に向け、県教委としてどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねをいたします。 警察庁によると、治安の指標とも言える刑法犯認知件数は、昨年、六十万一千三百八十九件と二十年ぶりの増加に転じ、日本の治安が悪くなったと感じる人の割合が半数以上となるなど、我が国の犯罪情勢は厳しい状況にあるとの懸念が示されています。 中でも、警察に対応を求めるものとして、不正アクセスやフィッシング詐欺などのサイバー犯罪の比率が増加し続けており、インターネット空間における犯罪に対して、その匿名性や不透明性から多くの国民が不安を感じていることがうかがえます。 本県でも被害が発生した、海外の収容所から携帯電話で日本の若者たちを操っていたとされる一連の強盗事件など、コロナ禍を経てデジタル社会の実現が加速的に進む中、サイバー犯罪に代表されるように、県民の安心・安全の確保のため警察が求められる課題は複雑化しており、警察組織・警察官の対処能力の向上が喫緊の課題となっています。 こうした中、県警察においては、警察庁と連携したサイバー犯罪への対応体制の構築や、捜査力の強化などの取組を進めることとされています。 私どもとしても、運転免許行政をはじめとした行政サービスの向上と併せて、技術革新や社会課題の変化に対応できる人材の育成や組織の変革を迅速に進められることを期待しているところです。 その一方で、地域の安全・安心の拠点とも言える警察署などの施設や設備は、多くが建設から半世紀以上経過している現状があり、こうした地域拠点が、サイバー犯罪への対応やデジタル化など社会の変革に対応し得るものとなっているのか、不安を感じる声があるのも事実です。 また、周南警察署をはじめ、十年、数十年に一度の災害が発生した際の災害拠点としての機能が十分に発揮できない施設もあると聞き及んでおり、中長期的な視点でこうした課題にも応えていく必要があります。 やまぐち未来維新プランに基づき、県全体が技術革新を取り入れながら新たな未来に向けた県づくりを進める中、その反面、生じてくる課題や県民の不安にしっかりと応えていくことが、県警察の重要な役割です。そのためのハード・ソフト両面からの警察機能の不断の刷新に、県警本部長が先頭に立ってしっかりと取り組んでいただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。犯罪や事件が高度化・複雑化する中、安全・安心の基盤である警察機能の充実強化にどのように取り組んでいくのか、県警本部長の御所見をお伺いをいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 友広議員の代表質問にお答えします。 まず、令和五年度当初予算についてのお尋ねです。 人口減少の進行をはじめ、三年に及ぶコロナ禍や、それによる社会経済活動の低迷、デジタル化や脱炭素化等の社会変革、ウクライナ情勢を発端とした物価高騰など、県政を取り巻く環境は大きく、急速に変化をしています。 私は、こうした環境変化をしっかりと捉え、単にコロナ前に戻すだけではなく、様々な社会変革の先にある新しい未来に向けて、本県の経済や暮らしをより高いレベルに引き上げていく発展的再生を実現させるという強い思いを持って、このたびの予算を編成しました。 予算編成に当たっては、やまぐち未来維新プランに基づく新たな県づくりを本格的に始動する予算と位置づけ、プランに掲げる、安心・安全、デジタル、グリーン、ヒューマンの四つの視点を踏まえ、これまでの取組を未来志向で再構築するとともに、コロナ禍等で生まれた新たな課題や深刻度が増した課題への対応に重点的な予算配分を行いました。 まず、安心・安全の確保では、コロナ禍の経験を踏まえ、将来にわたって県民の命と健康を守る取組の充実強化として、県立総合医療センターの抜本的な機能強化に向けた取組などを進めていきます。 デジタル実装の加速化では、県民一人一人が豊かさと幸せを実感できる人にやさしいデジタル社会の構築に向け、県政の各分野・各地域でのデジタル実装を進め、やまぐちデジタル改革をより高いレベルに押し上げます。 脱炭素社会の実現では、カーボンニュートラルを原動力に本県産業が成長と発展を遂げていくため、産業関連の設備投資・研究開発を支援するほか、県民や事業者の自発的な行動変容を促す、県民総参加による地球温暖化対策を推進します。 また、人づくり、新たな人の流れの創出では、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援や本県の未来を担う人づくりの取組を一層充実させます。 さらに、コロナ禍で失われた人と人とのつながりや活力を再生し、コロナ前よりも元気な地域をつくるため、山口きらら博記念公園を県の中核的な交流拠点として、本県の活力を創出・発信してまいります。 これらのプランに掲げる重点施策の推進に当たっては、令和四年度二月補正において新たな基金を創設し、計画期間にその取組を着実に実行することにより、確かな成果につなげていきたいと考えています。 さらに、現下の物価高を踏まえ、光熱費高騰に対する支援や消費需要喚起策などの物価高騰緊急対策に加え、県産飼料の生産拡大支援や、賃金引上げ・価格転嫁を促進する中小企業制度融資の融資枠を確保するなど、中長期的な課題にも対応した支援を行います。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向け、本予算を通じ、コロナ禍や現下の物価高で傷んだ社会経済を再生させるとともに、三つの維新のさらなる進化を図る取組を速やかにスタートさせ、県民の皆様がその成果を早期に実感できるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル改革の深化・加速化についてのお尋ねにお答えします。 デジタルは、本県が抱える様々な課題を解決するための切り札となり、また、新たな価値を創造し、地域の持続的な成長へのチャンスを生み出す大きな可能性を有していることから、私は、その力を積極的に活用する、やまぐちデジタル改革の取組を強力に推進しています。 これまでの全国に先駆けた様々な挑戦を経て、社会の中での実装事例も生まれており、私は、こうした成果をさらに増やし、多くの県民の皆様に届けるため、本県のデジタル改革を実装の本格展開を図る次のステージへと、しっかりと押し上げていかなければならないと考えています。 折しも、国は、デジタル田園都市国家構想総合戦略において、地方のデジタル実装による課題解決への取組を支援するとし、また、県議会の人にやさしいデジタル社会実現特別委員会からも、改革の成果を県民が実感できるよう、デジタル実装に力を注ぐべきとの提言を頂きました。 まさに今、デジタル実装に向けて大きく踏み出していかなければならない。私は、そうした考えの下、やまぐちデジタル改革基本方針を改訂し、県民の皆様がデジタルで社会や暮らしが変わったと真に実感できるよう、実装を改革の主眼へと据え、力強く取組を進めていきます。 そして、実装への各分野の取組をデジタル推進局が中心となり戦略的に推進するため、新たにデジタル実装推進基金を創設し、これを最大限有効活用すること等により、実装に向けた施策を重点的かつ集中的に展開していきます。 具体的には、県民に密接な分野において、デジタル実装によって暮らしの質を向上できるよう、子育て世帯を支援する病児保育の予約システム導入や、教育データに基づく個別最適な学びを実現するためのクラウドサービスの活用などの取組を進めます。 産業面では、DX推進拠点「Y─BASE」のDXコンサルや、中小企業のデジタル活用支援等により、各現場のデジタル実装による生産性向上やビジネス変革、新規事業創出などへの取組を強化します。 農林分野については、農林業の知と技の拠点が強い農林業の実現に向けた変革の核となり、産学公連携による山口型スマート技術の開発を推進するとともに、データを活用した営農管理システム等の現場実装を加速するなど、取組の高度化を進めます。 さらに、デジタル実装を支える基盤となる光ファイバー網等の整備や、デジタル人材の確保・育成の取組も新たに基金を活用し、強力に推進していきます。 私は、県民一人一人が豊かさと幸せを実感できる人にやさしいデジタル社会の構築に向け、本県のデジタル改革をより高いレベルへと押し上げられるよう、デジタル実装を果敢に推進する、やまぐちデジタル改革の深化・加速化に全力で取り組んでまいります。 次に、産業脱炭素化戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素化の潮流が速度を増す中、本県産業がカーボンニュートラルを原動力とし、さらなる成長と発展を遂げるためには、取組の方向性や課題を産業界等と共有し、事業者の取組をしっかりと後押ししていくことが重要です。 このため、私は、昨年十月に策定したコンビナート低炭素化構想を核として、産業分野全般にわたる、やまぐち産業脱炭素化戦略の策定を進めてきたところであり、今後、戦略の具現化に向け、予算及び推進体制の両面から思い切った措置を講じ、実効性ある取組を強力に進めることとしました。 まず、予算面では、安定的な財源を確保し、企業投資等の予見性を高めることができるよう、六十億円の脱炭素社会実現基金を創設し、これを活用した新規施策を中心に集中的な取組を展開します。 本県経済の屋台骨であるコンビナートについては、各地域での連携体制の構築と活性化を図りながら、CO2排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化に向けた施設整備や研究開発に対し、県独自に複数年にわたる大規模な経済的支援を行い、国の支援策の取り込みにつなげてまいります。 あわせて、重要なインフラである徳山下松港においては、国際バルク戦略港湾施策を推進しつつ、将来の西日本エリアにおける次世代エネルギーの供給拠点化に向け、新たに設置する協議会において取組の具体化を進め、令和五年度を目途に港湾脱炭素化推進計画を策定することとしています。 また、自動車産業の電動化シフトに対応した県内企業の業態転換や新事業展開を支援するとともに、中小企業の水素関連産業への参入促進や脱炭素経営の普及啓発、制度融資による資金繰りの支援等に取り組みます。 さらに、自動車の電動化やエネルギー利用の効率化等に不可欠である蓄電池や半導体関連産業等は、今後の成長が見込まれることから、新たに最大五十億円の補助金を創設し、戦略的な企業誘致を進めることとしています。 加えて、農林業の知と技の拠点を核とし、脱炭素化等に対応する山口型スマート技術の開発・実装を加速するとともに、エリートツリーによる再造林の推進やJクレジットの活用促進など、CO2吸収源対策に資する取組を進めます。 体制面においても、脱炭素化をはじめ急速な社会変革に的確に対応するため、産業戦略部と商工労働部を一体化し、新たに産業労働部を設けるとともに、機能や人員をさらに拡充した産業脱炭素化推進室を設置し、総合的なマネジメントや企業ニーズの把握を行いながら、目に見える成果の創出を図ってまいります。 私は、今後とも、産学公金の緊密な連携の下、脱炭素化という変革を乗り越え、産業の未来をリードする山口県の創造に向け、新たな戦略の具現化に全力で取り組んでまいります。 次に、幹線道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するためには、迅速かつ円滑な物流の確保や交流人口の拡大に資するとともに、大規模災害時にも機能する道路が必要不可欠と考えており、やまぐち未来開拓ロードプランに基づき、幹線道路網等の整備を重点的・計画的に進めているところです。 具体的には、まず、山陰道のうち三隅─長門間については、市街地や観光拠点等に直結する重要な区間であり、地域の利便性・安全性の向上のため、早期に整備を進める必要があります。 このため、県としては、政府要望や知事会等の機会を捉え、早期事業化を要望するとともに、昨年八月に示された国の計画案を基に、周辺道路等の整備の検討や都市計画の決定に向けた手続を鋭意進めてきたところです。 さらに、私は、こうした取組を令和五年度の新規事業化に確実につなげるため、今月、柳居議長をはじめとした議員連盟や期成同盟会の皆様とともに、斉藤国土交通大臣に直接お会いし、改めて早期整備の必要性を強く訴えてまいりました。 また、その他の区間についても、引き続き、あらゆる機会を通じて、事業中区間の一日も早い完成はもとより、未着手区間の早期事業化を国に要望するなど、山陰道全線の早期完成に向けた取組を加速してまいります。 次に、下関北九州道路については、関門地域の一体的な発展を担う重要な基盤であることから、国や二県二市と連携し、都市計画環境アセスメントを進めるための調査を行っており、今年度、環境影響評価に係る審査会を開催するなど、取組を着実に進めているところです。 また、整備促進大会や産学官の連携によるシンポジウムを開催するなど、機運醸成や広範にわたるコンセンサスの形成にも努めています。 今後とも、事業化に向けた調査検討を迅速かつ着実に進めるとともに、議員の皆様や経済界とも連携しながら、早期実現に向け精力的に取り組んでまいります。 さらに、事業中の国道二号や国道百八十八号、小郡萩道路などの早期完成はもとより、地元の期待が大きい国道二号の台道から鋳銭司間などの事業化についても、国に強く要望してまいります。 また、県民の皆様が、安心・安全で快適に道路を利用していただけるよう、引き続き地域の課題やニーズに応じ、渋滞対策や適切な維持管理等にも努めていく考えです。 私は、本県の活力の源となる産業力の強化や交流の拡大、県民の安心・安全の確保に向け、その基盤となる幹線道路網の整備に積極果敢に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 教育行政についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍の約三年間、県教委では、学校における感染防止対策の徹底を図るとともに、全国に先駆けてICT環境を整備し、オンライン授業が実施できる体制を整えるなど、子供たちの学びを保障し、安心・安全に学校生活を送ることができるよう取り組んでまいりました。 しかしながら、この間、学校内外での交流機会の減少や人間関係の変化、生活リズムの乱れ等により、地域と連携した活動の停滞や体験活動機会の減少、いじめ・不登校の増加など、コロナ禍の影響による様々な課題が顕在化・深刻化しています。 このような中、本県の教育力を回復し、子供たちの豊かな学びを実現していくためには、まずは、こうした課題の解決に全力で取り組むことが重要であると考えています。 このため、コロナ禍で停滞した地域連携教育の再加速に向け、新たな推進体制の整備や子供と大人が学び合う場の創出などに取り組むことにより、希薄化した人と人とのつながりを取り戻し、社会総がかりで子供たちの学びや育ちを支援してまいります。 また、地域や企業、大学等と連携した自然体験活動のモデル事業を新たに実施することとしており、これを全県に展開することで、子供たちの体験活動の機会の充実に取り組んでまいります。 さらに、いじめ・不登校等の未然防止を図るため、全国初の取組として、中学・高校入学前の段階からスクールカウンセラーによる教育相談を実施する体制を構築し、新たな学校生活等に不安や悩みを抱える新入生への重点的な支援を行うこととしています。 こうした取組により、コロナ禍で直面した諸課題の解決を図ると同時に、ポストコロナ社会における新たな学びの実現に向けては、全ての県立学校に整備したICT環境をさらに効果的に活用していくことが必要です。 このため、タブレット端末の利用により蓄積された学習履歴などの教育データを学習指導等に活用することで、児童生徒一人一人に合った学びを支援してまいります。 また、海外の学校との遠隔授業や、選抜性の高い大学を志す高校生を対象とした課外授業、専門高校等における資格取得のための講座などをオンラインで実施することにより、学校の枠を越えて切磋琢磨し、学ぶことのできる機会の創出に積極的に取り組むこととしています。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関等との緊密な連携の下、コロナ禍で制約を受けてきた子供たちの学びをしっかりと取り戻すとともに、本県の強みであるICT環境を生かした質の高い教育の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) 警察機能の充実強化についてのお尋ねにお答えします。 議員お示しのとおり、昨年、全国では刑法犯認知件数が二十年ぶりに増加に転じたほか、うそ電話詐欺の認知件数や被害額も前年より増加するなど、懸念される状況となりました。 一方、県内では、刑法犯認知件数やうそ電話詐欺の認知件数、被害額については減少しているものの、サイバー犯罪に関する相談件数が四千件を超え、過去最高となるなど、安全・安心なサイバー空間の確保は喫緊の課題となっています。 また、全国で殺人にまで至った一般民家などを対象とした連続強盗事件が発生しており、当県でも、同一犯行グループによるものと見られる事件が昨年十一月に発生しております。 当県の事件については、速やかに実行犯全員を検挙しており、現在、警視庁等と合同で指示役の特定など全容解明を進めているところでありますが、これら凶悪事件の発生が、体感治安を脅かす大きな要因になっていると認識しています。 県内におけるこれらの事件では、当県とは全く縁のない実行犯らが、指示役から秘匿性の高い通信アプリなどで指示を受け、県内に入り犯行した後、直ちに県外に逃走するなどの特徴があり、こうした犯罪の広域化・スピード化に対応するためには、最新の捜査ツールの導入等による、捜査の一層の高度化・スピード化が求められる状況となっています。 さらに、限られた人員をこれらを含めた捜査活動、警察活動に的確に対応させていくためには、あらゆる業務を積極的にデジタル化し、合理化・効率化を図ることによって、真に人にしかできない仕事に貴重な人的資源を集中投入していくことが、より重要となってきます。 加えて、議員お示しのとおり、警察活動の基盤であり、災害等の発生時には災害警備活動の拠点となるべき警察署等の施設についても、老朽化が進み、機能性や県民サービスの面からも不備が生じているものが多々あり、これらへの対策も喫緊の課題となっております。 こうした観点から、県警察においては、先日発表された、やまぐち未来維新プランにおいて、サイバー犯罪対策の強化や社会の変化に対応した捜査力の強化、さらには警察部内のデジタル化、そして、老朽化した警察署や交番等の集中的な建て替え整備の推進等、様々な施策を策定させていただきました。 県警察では、これらの施策を実現するため、来年度は、サイバー犯罪対策に特化したサイバー犯罪対策課や捜査の高度化に対応する捜査支援分析課、さらには警察部内のデジタル化を一層推進していく情報技術推進課を新たに立ち上げ、それぞれ専門的な人材の確保・育成はもとより、必要なデジタルツールや捜査の高度化に資する資器材を計画的に整備してまいることとしております。 また、防府警察署や周南警察署をはじめとする老朽化、狭隘化した警察署についても、災害警備活動の拠点として、あるいはデジタル化や感染症への対応、利用者の利便性向上の観点からも十分となる施設とすべく、集中的かつ計画的な建て替え整備を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(柳居俊学君) 先城憲尚君。    〔先城憲尚君登壇〕(拍手) ◆(先城憲尚君) 皆さん、おはようございます。公明党の先城憲尚でございます。公明党を代表して質問をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。 まず初めに、県民の命と健康を守るコロナ感染症対策についてお尋ねいたします。 岸田総理は先月二十三日、新型コロナの感染症法上の位置づけを、現在の二類相当から五類へと変更する方針を明らかにしました。 この五類への変更は、制限緩和につながる一方で、医療費の公費負担や医療提供体制の変更など、多くの課題が想定されています。 そのため、公明党の石井幹事長らは先月二十四日、松野官房長官に対し、ワクチン接種や検査・治療・入院の費用について当面の間の公費負担の継続や、医療提供体制の段階的な移行を求める提言を提出いたしました。 これを受け、政府は対応方針を決定し、公費負担の当面の継続などが盛り込まれることとなりました。 この感染症法上の位置づけの変更は、ウイズコロナの取組を今後さらに進めるための我が国の一つの決意であり、本県で初めて感染が確認されてから三年間、長きにわたるコロナとの闘いに一つの大きな節目を迎えるものとなります。 振り返りますと、県では、当初から検査を幅広く実施し、感染者の急増にも先手先手の対応により十分な体制を確保し、適切に医療を提供されてきました。 また、ワクチン接種についても、全国トップクラスのスピードで接種を進められるなど、県民の命と健康を最優先として迅速・的確に対応されたことは大いに評価をしたいと思います。 また、全力で向き合っていただいた保健所や県の職員の方々にも、改めて感謝の意を申し上げたいと思います。 しかし、制度上の位置づけは変わろうとも、コロナの感染者は今でも増え続けています。県におかれましては、移行に当たり県民の不安・混乱がないよう、医療機関との綿密な連携体制や県民への相談窓口など、引き続き、万全の体制をもって臨んでいただきますようお願いいたします。 そこで、感染症二類相当から五類への移行を踏まえ、これまでの三年間における県のコロナ感染症対策をどう評価し、今後どのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援について、二点お尋ねいたします。 まず、中小企業の賃上げに向けた支援です。 総務省が発表いたしました昨年十二月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が、前年同月比で四%の上昇となりました。この上昇率は、第二次石油危機以来、四十一年ぶりの水準です。 このように急速な物価高では継続的な賃上げは不可欠であり、政府は各種支援策の拡充とともに、経済界への協力を呼びかけています。 公明党も物価上昇を上回る賃上げを訴え、特に、中小企業における各種支援策に力を注いできました。これまでに、業務改善支援金における対象事業者の拡大、賃上げを条件に各種補助金の補助率や補助額を引き上げる仕組みの創設、さらには賃上げに必要な価格転嫁を進めるため、下請Gメンの増員による相談体制の強化などを実現してまいりました。 さて、県の当初予算では、当面の物価高への対応、デジタル化や脱炭素化などの経営転換を支援する事業、職業能力を再開発するリスキリング推進など、生産性向上や経営力強化に向けた事業が計上されています。県内中小企業が、これらの事業や国の支援策をしっかりと活用し、賃上げを進めることができるよう支援機関等とも連携しながら、きめ細かな支援に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、中小企業の賃上げに向けた支援に今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 二点目に、中小企業のDX推進についてお尋ねをいたします。 二○二三年度は、商慣習や働き方に関する多くの法改正が施行される予定であり、中小企業の経営者にとっては厳しい年となりそうです。そのうち、三つの法改正を紹介をしておきます。 まず、四月から始まるのが、中小企業に対する月六十時間を超える時間外労働の割増賃金率引上げです。現行の二五%から五○%へ倍増いたします。これに深夜割増賃金率二五%を加えると、合計七五%の加算になります。中小にとっては大変な負担増です。 二点目に、賃金のデジタル払いが、同じく四月から解禁されます。企業は、電子マネーやスマホを使って賃金を支給できるようになるため、コストが俄然低下します。導入するかどうかは企業側の判断となるものの、中小企業もデジタル改革は避けられません。 最後三点目に、最も大変なのが反対の声が鳴りやまないインボイス制度の導入です。開始は本年十月からとなっていますが、課税売上高一千万円以下の免税業者は決断を迫られています。インボイスを発行しないと販売先から取引をストップさせられる可能性があるからです。 以上、代表的なものを三つ紹介しましたが、いずれも経営者にとっては、DX改革を達成しなければ乗り越えられないものばかりとなっています。 ちなみに、最近、アメリカでは、企業内の稟議書や報告書、優れた研究論文の多くが、人間ではなく対話型AIが作成をしているのではないかと言われています。チャットGPTと言われるもので、あっという間に一億人のユーザーを獲得しています。商品紹介や取扱説明書まで自動作成しているようです。 また、国内でも、角度は違いますが、ローソンにも全店にセルフレジの導入が完了いたしました。デジタル改革も既に次の段階に入りつつあることを認識しないといけません。 そこで、県は、中小企業のDX推進に対してどのような支援を行っていくのか、お伺いいたします。 次に、インバウンドの推進についてお尋ねをいたします。 世界の航空需要予測では、日本の外国人観光客は本年末には二千万人を超える水準まで回復するという見通しになっています。インバウンドは本格回復の兆しです。 特に、国際線旅客数については、成田国際空港を十二月単月で見ますと二○二一年十二月比では五・八倍の百五十八万人で、このうち外国人は十四倍に達しています。外国人観光客が急激に回復をしています。 マーケットも反応しました。この状況を受けて、投資信託では、インバウンド関連に投資する銘柄が最も多く資金を集める状況となっています。八年ぶりですが、一発で一千億円超を集めた野村の銘柄も出てきました。お金は正直です。 私は、インバウンド回復の要因は三つあると考えています。 第一の要因は、政府による新型コロナ水際対策の緩和です。昨年十月以降、入国者総数の上限が撤廃され、ビザ免除が再開されました。同時に、受入れ責任者による健康確認も不要になっています。 加えて、中国大使館は一月二十九日、日本人向け渡航ビザの発給手続を即日再開すると発表しましたし、日本政府がコロナの感染症法上の分類を二類相当から五類に変更することも、大きな引き金になっています。 そして、第二の要因は、円安の恩恵です。円安が進行するほど外国人観光客の消費が増加するという傾向にあります。多くの外国人にとって日本の物価は割安になっているからです。 分かりやすい指標があるので紹介します。皆さん、ビッグマック指数を御存じでしょうか。イギリスの経済誌エコノミストが、年に二回発表している経済指数です。皆さんも食べたことがあると思いますけれども、マクドナルドのビッグマックは世界の多くの国で販売されています。しかも、材料と調理法が全く同じ、つまり全く同じ商品なんです。そこでビッグマックの価格を基準にして、各国の物価水準を比較しようというのがビッグマック指数なんです。 海外旅行を選ぶ場合、ビッグマック指数の高いランキングの国ほど割高であり、低い国ほど安い価格で旅行や買物ができるというわけです。 で、どうなっているのでしょうか。日本で三百九十円のビッグマックが、スイスへ行くと何と九百二十五円、二倍半です。アメリカで七百十円、やはり高い。シンガポール五百八十五円、中国四百九十円、韓国四百八十三円です。これを見ますと、円安で日本の物価がどれだけ安くなっているかが分かります。 ちなみに、戦渦にあるウクライナでさえ三百二十二円ですから、日本とほとんど戦争をやっている国が変わらない、こういった状況です。 ちなみに、極端な例ですけど、日本で有名な一風堂の八百円のラーメンは、シンガポールでは四千円出さないと食べることができません。どれだけ日本に割安感があるのかが分かります。 逆のケースですけれども、二十二年前、共産主義の中国で鄧小平さんが経済だけ資本主義を取り入れました。そのときに私、青島に行きました。中国経済は急速に発展し、人々は豊かになっていました。人口は七百万人に膨れ上がり、高層ビルやマンションは林立し、ベンツやBMWはやたら走っているという風情で、大都会に変貌を遂げていました。 しかし、まだ中国の通貨である元が安いために、レストランへ行きますと青島ビールがジョッキ一杯で何と五十円、タクシーの初乗りが百円、マッサージに来てもらったら一時間で六百円、驚くべき割安感があり、思わず長期滞在になってしまいました。ちょっと極端な例ですけれども、外国から見た日本の状況はこれに近い。 ですから、愛媛県などは天守閣に泊まる一泊百十万円のキャッスルステイを開始しましたが、春のシーズンは外国人も含めたキャンセル待ち状態になっています。 JR九州の観光列車「ななつ星」は一泊六十五万円と高額ですが、外国人の申込みが増えており、既に抽せんになっております。 また、通貨が安いと全てが安いので、長い滞在になりがちなんですが、それを見た茨城県なんかはタイムリーに四泊五日のゴルフツアーを企画しました。昼は名門ゴルフ場巡り、夜はグルメで長期滞在をさせる。これを実験的にやってみたら完売で、二弾、三弾を拡大して企画中とのことです。円安の恩恵は大いに活用すべきです。 データ上も、外国人の消費額が回復しているのが分かります。三井住友カードは、クレジットカードの決済データを活用して消費動向を分析をしていますが、そのレポートによりますと、訪日外国人のカードによる消費は、昨年十月以降急増し、新型コロナ流行前の二○一九年水準にほぼ回復をしています。日本人の消費動向からすれば、驚きの回復力です。 最後に、第三の要因でございます。新型コロナ禍で積み上がったコロナ貯蓄が、海外では一気に取り崩され、消費に回り始めたということです。 皆さんの中にも、飲み会が減って普通預金の残高が増えたという方もいらっしゃるでしょう。 アメリカでは、新型コロナの影響で積み上がったコロナ貯蓄が取り崩され、消費に勢いよく回ってきました。このため、アメリカへ進出している日本企業はいずれも絶好調です。日本総研の試算では、アメリカのコロナ貯蓄は二百六十兆円まで拡大しました。日本のGDPの半分に相当します。 しかし、昨年以降、消費回復とともに減少に転じ、昨年十二月時点で九十兆円にまで縮小しています。つまり、この差額百七十兆円が、アメリカ人を海外旅行へ押し出す財源となっているのです。いわゆるリベンジ消費です。 しかし、将来の生活不安が根強い日本では、コロナ貯蓄が大きく取り崩される状況には至っていません。国内観光は回復傾向にあるものの、海外のほうが勢いがあります。やはり今は、インバウンドを追いかけることが重要です。 以上、インバウンドの傾向は、水際対策の緩和、円安による割安感、コロナ貯蓄の取崩しという三つの要因により、今後も急回復していくことは間違いありません。インバウンドは今が旬です。 具体名は出しませんが、山口県の観光名所は、食材も豊富で豊かな温泉も多く、お酒もうまい。観光地としてのポテンシャルは極めて高いと言えます。これを超えるものは、福岡県には見当たりませんし、広島県には原爆ドームぐらいしかありません。 水際対策の規制緩和、円安、リベンジ消費と最高の条件が出そろった今、コロナで打撃を受けた県内観光関連業界の回復に向け、山口県としても、インバウンド獲得にしっかりと取り組むべきと考えます。知事の方針をお伺いいたします。 次に、農林水産物などの輸出拡大についてお尋ねいたします。 まず、国の動向ですが、二○二二年の農林水産物・食品の輸出額は前年比一四%増の一兆四千億円となり、十年連続で過去最高を更新しました。この勢いを捉えるため、国は今後の輸出額目標を二○二五年に二兆円、二○三○年に五兆円に設定しました。 世界の農林水産物・食品市場が拡大する中、国はこれまでの国内市場に依存する構造を、成長する海外市場で稼ぐ方向に転換するという方針を示しています。 具体的には、生産から販売までのバリューチェーン全体を、プロダクトアウトからマーケットインに徹底的に転換します。つまり、日本の都合から、海外のニーズに合わせていくという根本的な方針転換です。したがいまして、量、価格、品質、規格においても、海外市場で求められているスペックに合わせて生産・輸出し、新たな市場を開拓していく方針です。 さらに、昨年十月、輸出促進法を改正し、品目団体の法制化によるオールジャパンで、輸出にチャレンジする農林水産事業者を後押しすることになっています。 県の動きとしても、私も、昨年九月議会で、日本酒の海外への売り込みを取り上げましたが、世界各国で入国規制が緩和された今、再び輸出の波が起こってまいりました。 昨年十一月には、村岡知事やASEAN議連の皆さんがシンガポールやベトナムを訪問され、今後の必要な課題も浮き彫りになりました。 そこで、二月十日、村岡知事、柳居議長、ASEAN議連の吉田会長、島田副会長に、私も副会長として末席に加えていただき、農林水産大臣に直接、要望書を渡してきたところでございます。 自民党の皆さんが中心となって、三十年近くかけて築き上げてこられたASEAN諸国とのパイプが今、花開こうとしています。 さて、山口県の課題ですが、本県の農林水産物などは品質で評価されているものの、個々の生産量が少ないため、輸送コスト面で不利となっていることに加え、商社がいないという問題もあります。 さらに、大規模産地を有していない本県では、加工品を中心に輸出しており、食品製造事業者等の輸出を加速させることが急務です。 そこで、本県の農林水産物などの特性である小ロット・高品質を生かし、輸出先のニーズにきめ細かに対応した新たな輸出戦略を推進するべきと考えますが、知事の方針をお伺いいたします。 次に、インフラの老朽化対策についてお尋ねいたします。 山梨県の中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落し、九人が死亡した事故から既に十年が経過しました。インフラの老朽化という問題を浮き彫りにしたこの事故を教訓に、二度と惨事を起こさないとの決意で対策を進めなければいけません。 笹子トンネルの事故の後、国が全国一斉に橋や道路などの社会インフラの総点検を実施した結果、一九六○から七○年代の高度成長期に集中的に建設されたインフラの多くが傷んでいることが露呈しました。 このため、国は道路法を改正し、インフラを五年に一度点検することを国や自治体に義務づけました。 しかし、この十年で新たな課題も出てきました。点検で問題が判明しても、自治体によって補修作業を十分に進めることが難しいという点です。規模が小さい自治体ほど顕著で、財源や人材不足が原因となっています。 現状を放置すれば重大な事故につながるため、早急な対応が必要です。 この点、国土交通省の有識者会議が昨年十二月に発表した提言では、複数の自治体が橋やトンネルを共同管理する仕組みづくりなどを提案しています。 この提言を受けて国土交通省は、具体的な検討を進める方針です。斉藤国交大臣も、インフラ老朽化は喫緊の課題との認識を示しており、迅速な対応を期待したいと思います。 公明党としても、この間、インフラの安全総点検や予防保全という事前対策に取り組んできましたが、今後は自治体が抱える課題の解決に取り組み、インフラの老朽化対策を遅滞なく進めることが重要と考えています。 そこで、インフラの老朽化対策について、県内の現状と今後の方針についてお尋ねをいたします。 最後に、山口県の英語教育についてお尋ねいたします。 二○一三年、教育再生実行会議は、グローバルに対応した教育環境を築くため、初等中等教育段階から英語学習の早期化、時間増、教科化、専任教員配置等、抜本的拡充を提言しました。 これを受け、二○一七年、新たな小学校学習指導要領が告示され、外国語教育が本格的に取り組まれることとなりました。 山口県においても、二○二○年四月より、小学校外国語教育が全面実施され、専科教員との連携、研修の充実、デジタル教科書の活用、人材育成などに取り組んでこられたところです。 さらに、昨年八月、文科省はアクションプランをまとめ、英語教育・日本人の対外的発信力の改善に向けて取り組むべき事項を明確に示しました。 背景には、国際的な英語の検定試験で、日本人の平均点が最低水準に落ち込んでいることがあります。TOEFLのテストにおいて、日本人の平均点は、OECD加盟三十七か国中最下位、アジアの二十九か国中二十七位という大変不名誉な状況であることが判明しました。 英語教育の改善は急務です。 そこで、そもそも今なぜ、子供たちに英語教育なのか考えてみたいと思います。ポイントは五つです。 まず、一点目、グローバル化で海外進出する企業が急増しているからです。 世界八十か国以上で使用されている言語ですから、英語を話さないということは、それだけで他の企業との競争についていけないことを意味しています。 日本企業の海外拠点は事業所が七万八千か所ありますが、コロナ期を除いては一貫して増え続けています。 英語が使えれば、日本依存を脱却し、海外でビジネスをして生き残りを図ることも可能になります。失われた三十年で給料が全く上がらないと嘆いている間に、年率七%という驚異の経済成長を続けるASEANに進出して稼ぐという選択肢も出てきます。 例えば寿司職人ですけど、ヨーロッパは今、日本食ブームで寿司職人の争奪戦が起こっています。高級店では日本人が握ること自体がブランドとなるわけですから、所得は日本の約倍近くになるそうです。 二点目です。リモートワークが広がっています。 世界中の企業がリモートワークを推奨するようになって、英語の重要性はますます高くなっています。インターネットによって世界中とつながることで、家にいながら世界中の求人に応募できる時代になりました。実際に企業がリモートで求人を募集する動きが世界中に広がっています。 ちなみに、デジタル先進国ではこういった越境テレワーカーのための短期滞在ビザを導入して、インバウンドと同じ効果を上げているようです。 三番目、国内でも英語力重視の会社が増えているからであります。 国内の就職や転職でも、応募者に一定レベル以上のTOEICスコアを求める求人が増えています。たとえ国内であっても、英語の重要性・必要性は高いので、人材としての価値が向上し、年収も上がってまいります。 結果として、英語を社内公用語にしている企業もたくさん出てきました。ユニクロ、アサヒビール、シャープ、日立、武田薬品、楽天、ソフトバンクなどなどです。 恐らく英語ができれば、就職は引く手あまたとなるでしょう。 四番目です。英語の情報であれば、素早く大量に手に入るからです。 世界では、重要な情報の多くは英語でやり取りをされています。インターネットの情報のほとんどが英語で書かれており、私もグーグルで検索やってみましたけれども、実際に検索するワードを日本語から英語に置き換えるだけでヒットする情報の量が何倍にもなります。ちょっと驚きました。 そもそも株価は、世界の市場でほぼ同時に動きますが、買っている投資家のほとんどは外国人ですから、もうけている人はほとんど英語が堪能で、英語で海外の情報を集めています。英語ができれば、金持ちになるチャンスが増えるといっても過言ではありません。 五番目です。プログラム言語は英語がベースだからです。 英語が必要な業界の代表格と言えるのがIT業界です。主要なソフトは英語で開発をされているため、各国のエンジニアたちの間では共通言語として英語が使われています。もはや生活に欠かせないITですが、支えているのは英語なんです。IT業界は今大量の人材が求められています。英語ができれば、IT業界から引っ張りだこになるかもしれません。 以上、るる述べてまいりましたが、英語を話す人の数は二十億人以上と言われており、英語ができると、当然、活躍の場は大きく広がります。別に重要な決意をしなくても、平気で海外留学できるし、平気で海外移住できるようになります。 近隣国で、もし有事が発生し、海外避難を強いられる場合は、英語が自分の身を助けてくれるでしょう。 このように、今、山口県の子供たちが英語をできるだけ自然に身につけていくことで、その可能性が大きく広がり、人生をより豊かなものにすることは間違いありません。山口県の子供たちが、かつての吉田松陰先生のように世界に目を向けるようになることが大事です。グローバル社会となった今、英語ができたほうが夢が実現しやすいのは確かです。 そこで、県は、小学校外国語の教科化全面実施から三年を経て、これをどう検証し、今後、どのように進めようとされているのか、教育長にお伺いをいたします。 偶然ではありませんが、ちょっと時間がありましたので、全体の質問のダイジェスト版をお送りしたいと思いますが、詳細は省きますけれども、円安が進行しているのは事実でございます。 したがって、日本という国は、エネルギー、それから食品、大半は輸入に頼っています。したがって、当然、物価が上昇します。そうすると、中小企業は価格転嫁ができないために非常に苦しい。で、私は、今回、中小企業の賃上げ支援を取り上げたわけであります。 この円安は、ドルと円の交換比率の問題ですから、外国人には当然逆に割安感が出るということになって、それじゃあインバウンドを推進してきていただきましょう。そして、農林水産物を輸出をして、安くたくさん買ってもらいましょうということで、これを進めるべきだという質問を二つしました。 そして、来てもらうためには国の安全をアピールしないといけません。したがって、コロナはもう二類から五類ですよ、減りましたよということをアピールしないといけません。もちろん公費支援は伴ってのことです。 加えて、笹子トンネルの事件がそんなに起こるようでは、日本のインフラはやばいと言って外国人が来なくなるかもしれませんので、老朽化したインフラを再整備するということで質問をいたしました。 総じて、外国為替、円の換算比率の問題ですから、これだけ日本に影響をもたらすものかと感じますけれども、グローバルな視野で世界を見つめ進出すべきでございます。そのためには、こういった問題に対処するにはどうしても英語教育を身につける必要があります。 以上、六項目全てが山口県の将来に向けたパッケージでございまして、知事、教育長の答弁に期待をいたしまして、公明党を代表しての質問とさせていただきます。 皆さん、御清聴大変にありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 先城議員の代表質問にお答えします。 まず、県民の命と健康を守るコロナ感染症対策についてのお尋ねです。 三年前の三月三日、本県で初めて感染が確認されて以降、感染拡大の波が何度も押し寄せる中、私は、県民の命と健康を守ることを最優先に、変異を繰り返すウイルスの特性に応じた実効的な感染症対策に全力で取り組んできたところです。 まず、県民の皆さんが必要に応じて速やかに検査を受けられるよう、一日約三万件の検査に対応できる体制を確保し、高齢者施設等への検査や県内七十五か所の薬局等での無料検査など、幅広い検査を実施しています。 また、医療提供体制については、感染された方が速やかに適切な医療を受けられるよう、全国トップレベルとなる六百八十八床の入院病床に加え、一日約八千人の発熱患者にも十分対応できる外来診療体制を確保しているところです。 さらに、ワクチン接種については、市町や医療関係団体の長で構成する対策会議を設置し、関係機関等が一体となった接種体制を確保するとともに、県においても広域集団接種会場を開設するなど、全国トップクラスのスピードで接種を進めてまいりました。 本県では、こうした取組とともに、県民の皆様の御協力もあって感染の波を乗り越え、適切に対応できたものと考えており、県民をはじめ市町や関係機関が一丸となって、ワンチームで取り組んできた成果だと考えています。 こうした中、今般、国は、五月八日から新型コロナを感染症法上の五類に位置づけることを決定しました。私としては、日常を取り戻す新たな段階へと進んだものと認識しています。 この位置づけの変更により、今後は、自主的な感染症対策がベースとなることから、県民の皆さんに不安や混乱が生じないよう、円滑に移行することが極めて重要です。 このため、体調変化時の相談等に応じる受診相談センターの運用や、重症化リスクの高い方を守るための高齢者施設等の従事者に対する検査を継続してまいります。 また、これまで医療関係団体と構築してきた連携体制や積み上げてきたノウハウ等を生かし、他の疾病と同様に、広く一般的な医療機関で安心して受診できる医療提供体制を確保していきます。 さらに、円滑な移行に当たっては、適切な経過措置を講じながら段階的に進める必要があると考えており、負担能力に配慮した医療費の公費負担の継続など、全国知事会を通じて国に要望しているところです。 こうした取組に加えて、三年間のコロナ対策で培ってきた経験を踏まえ、今後とも起こり得る新興感染症にもしっかりと対応できるよう、来年度、感染症予防計画の改定に着手します。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、市町や関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、中小企業支援についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、中小企業の賃上げに向けた支援についてです。 原材料等の物価高騰をはじめ、世界的な脱炭素化の潮流や急速なデジタル化の進展など、企業の経営環境が大きく変化する中、中小企業における賃上げを実現するためには、生産性の向上と円滑な価格転嫁の実現が重要と考えています。 こうした中、国においては、賃上げを条件とした各種補助金の拡充や取引適正化対策等を強化しており、県ではその活用が十分図られるよう、商工会等の支援機関と連携したサポートを行うとともに、価格交渉促進月間に連動し、大企業等に対する取引適正化に係る文書要請を行うこととしています。 また、経営革新計画の策定等を通じて、新商品開発や設備導入等の取組を支援するとともに、今年度に引き続き、省エネや業務効率化に資する設備導入補助を実施するなど、企業の付加価値や生産性向上の取組を支援することとしています。 さらに、今後の事業継続には、中小企業においてもカーボンニュートラルへの対応が不可欠であることから、新たにセミナーの開催等を通じた理解促進や、CO2排出量算定、設備導入補助等にも取り組み、脱炭素経営への転換を支援します。 加えて、中小企業の収益改善を図るため、昨年創設した賃金引上げ・価格転嫁支援資金等の制度融資により金融面での支援を行うとともに、クラウドファンディングを活用した頑張るお店応援プロジェクトや、運送料の値上げに対応したEC送料支援などの消費需要喚起策にも取り組みます。 これらの取組を通じて県内経済の好循環につながるよう、中小企業の構造的な賃上げに向けた環境整備を図ってまいります。 次に、中小企業のDX推進についてです。 お示しのとおり、本年は労働基準法をはじめ企業経営に関連する法改正が施行されることとなっており、喫緊の課題である生産性向上や働き方改革の実現にはDXの推進が不可欠と考えています。 このため、本県のDX推進拠点である「Y─BASE」において、専門スタッフが具体的な課題解決に向けて、データ分析やアプリ開発を行える「Y─Cloud」を活用したDXコンサル等を行っています。 様々な分野からのDXコンサルは百五十件を超え、過去のデータに基づく最適な生産計画や人員配置など、これまでに八十五件の課題を解決しており、利用者からも大変高い評価を頂いています。 こうした取組と連携し、さらにDX導入の実効性を高めるため、新たな補助制度を創設し、デジタルツールの導入から先駆的な情報処理システムを活用した設備導入に至るまで、企業のニーズや課題に応じた効果的な支援を実施します。 また、DX推進にはデジタル人材の育成・確保が重要であることから、基礎的なセミナーや経営層向けの研修に加え、新たに、業務改革等に必要となるスキルや資格等の取得に向けたリスキリング支援に取り組みます。 さらに、未就業等の女性を対象としたプログラミング等のデジタル技術を習得する講座や、インターンシップによる就業支援を実施することとしており、こうした人材育成の取組については、来年度設置する産業人材課において一体的に推進することとしています。 これらの取組を通じて、中小企業におけるデジタル技術の活用に向けて、基盤整備と人材育成の両面からの支援策を展開することにより、生産性向上・業務効率化の鍵となるDXの推進を図ります。 私は、本県経済の重要な担い手である中小企業が、物価高騰などの直面する課題をデジタル技術の活用等により克服し、事業継続と成長・発展を実現できるよう、関係機関とも緊密に連携しながら中小企業支援に全力で取り組んでまいります。 次に、インバウンドの推進についてのお尋ねにお答えします。 政府による新型コロナウイルスの水際対策の緩和や円安に伴う割安感などが追い風となり、海外での訪日旅行への人気が高まりを見せる中、今後、日本を訪れる外国人観光客の大幅な増加が期待されます。 私は、このようにインバウンドが本格的に回復する今、この機会を逃すことなく、海外からの誘客促進に積極的に取り組み、旺盛なインバウンド需要を確実に本県に取り込むことが大変重要と考えています。 このため、外国人観光客の早期回復に向け、本県の強みである豊かな自然や歴史、多彩な食などの観光資源を最大限活用しながら、戦略的なプロモーションや受入れ環境の充実などの取組を迅速かつ集中的に行ってまいります。 まず、戦略的なプロモーションについては、韓国や台湾など五つの重点市場に配置した観光プロモーターと連携し、海外の旅行会社を招いた県内視察ツアーや商談会を実施するとともに、本県への早期の旅行商品造成に向けた積極的な働きかけを行っていくこととしています。 また、海外の旅行予約サイトにおいて、本県の見どころを季節ごとに紹介する新たなキャンペーンを展開するとともに、外国人観光客の年代や嗜好に即したターゲティング広告の配信や、観光地の三百六十度映像等のデジタルコンテンツを活用した効果的なPRも行うこととしています。 特に、多くの来訪が見込まれる台湾市場に対しては、これまで実施してきた情報発信会等の取組に加え、新たに現地で人気の高いテレビ番組や観光情報サイトを活用した本県の多彩な魅力の発信や、台湾プロ野球の試合会場における観光PRなど、集中的なプロモーションを行ってまいります。 さらに、外国人観光客を本県に確実に取り込むため、県内空港と韓国や台湾、ベトナム等を直接結ぶ国際チャーター便の早期就航や、その後の国際定期便の運航再開に向けた戦略的な取組を進めていくこととしています。 こうした取組に加え、インバウンドの受入れ環境の充実を図るため、外国人観光客に喜ばれるテーマ性のある観光スポットの整備や、地域の観光資源を生かした本県ならではの体験コンテンツの開発など、観光地としての本県の魅力を一層高める取組も進めてまいります。 また、外国人観光客向けの県内周遊モデルコースを整備するとともに、瀬戸内七県が参画する、せとうちDMOと連携し、観光素材の磨き上げや広域周遊ルートの開発に取り組むこととしています。 私は、海外との交流が本格化するこの機を逃さず、関係自治体や観光事業者等と緊密に連携しながら、外国人観光客の早期回復に向けた戦略的なプロモーションや受入れ環境の充実を進め、本県へのインバウンドの拡大に全力で取り組んでまいります。 次に、農林水産物等の輸出拡大についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進み、国内における食品市場の規模が縮小していく中、県産農林水産物等の需要を拡大するためには、成長する海外市場への展開を図ることが重要です。 このため、私は、やまぐち海外展開方針に基づき、日本酒や和牛などの輸出を積極的に推進してきたところであり、その結果、輸出商品数はこの五年で約四倍に増加し、輸出先も十三の国・地域にまで拡大するなど、着実に成果が上がっています。 また、昨年十一月のASEAN地域への訪問では、シンガポールで県産食材のPRを行ったほか、ベトナム政府との面会では、フグの輸入解禁に向けた検討を担当大臣に約束いただくなど、今後の輸出拡大に大きな手応えを感じています。 特にフグなど、輸出先が限定されている品目については、規制緩和に向けた二国間協議を促進するよう、今月、県議会の皆様とともに、農林水産大臣に対して要望を行ったところです。 こうした中、さらなる輸出の拡大を図るためには、お示しの課題を踏まえ、本県の農林水産物等の特性を生かした新たな輸出戦略を推進する必要があります。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに国内外での市場拡大を掲げるとともに、このたびの来年度予算においても、県産農林水産物等の輸出力強化に重点的に取り組むこととしています。 まず、商社機能を有する事業体の育成や輸送コストの低減を図るため、来年度、新たに県内の輸出事業者や関係団体等で構成する輸出プラットフォームを創設します。 この取組により、品目や輸出先別に事業者の連携を促進し、小ロット商品の集約や通関の一元化を進め、個別の事業者ごとに行っている手続の効率化を図ります。 加えて、新たに、近隣県との連携による大ロット化や海外進出企業と連携した定期便化など、県版エクスポーターの取組をさらに進化させることで、輸送コスト面での優位性を確保します。 また、輸出先のニーズにきめ細やかに対応するため、国内外に設置している輸出プロモーターを活用した対象国の市場調査や、海外バイヤーとの商談機会の創出を通じて、食品製造事業者の海外展開を積極的に支援していきます。 さらに、輸出先国の規制に対応するため、HACCPの認定に必要な施設等の整備を支援し、事業者による輸出先の開拓・拡大を後押しするとともに、引き続き、国に対して規制緩和に向けた二国間協議を促進するよう要望します。 私は、今後とも自らが先頭に立ち、これまでの取組を通じて得られた成果や県産農林水産物等の強みを最大限に生かしながら、海外市場のニーズにきめ細やかに対応することで、輸出の拡大に全力で取り組んでまいります。 次に、インフラの老朽化対策についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の社会インフラは、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められています。 しかしながら、本県においても、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランの重点施策に、日本一の安心インフラやまぐちの実現を掲げ、老朽化対策を着実に推進するとともに、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化に、より一層取り組んでいく考えです。 具体的には、来年度から、橋梁やトンネル等に加え、標識などの道路附属物をはじめとしたその他の施設についても、AIやドローンによる点検・診断を始めるなど、デジタル技術の活用範囲を広げていくこととしています。 さらに、道路や河川などの各施設の点検結果や補修履歴等のデータを一元的に管理するシステムを構築し、効率的な維持管理につなげてまいります。 また、こうした老朽化対策の取組を進めるに当たっては、今後とも、国の五か年加速化対策の予算等を積極的に活用するとともに、必要な予算の確保について、政府要望等あらゆる機会を通じて国に訴えてまいります。 一方、市町においても、県と同様に多くの社会インフラを管理しており、長寿命化計画に基づく修繕や更新等が進められているところですが、限られた財源や人員の中で対応に苦慮されていることから、県の取組を市町に広げていく必要があると考えています。 このため、県では、山口大学等と協働し、地域のインフラメンテナンスを担う中核的な人材の育成を図るとともに、国等と連携し、道路施設等の老朽化対策に関する技術基準や予算制度についての情報提供などを行っているところです。 さらに今後は、県が開発を進めている橋梁の点検・診断システムを提供することなどにより、市町の取組を積極的に支援してまいります。 また、お示しの橋やトンネルを共同管理する仕組みづくりなどについては、国の検討状況や市町の意向等を踏まえながら、持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けた対応を検討していく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、社会インフラの適切な維持管理を進めるとともに、デジタル技術を積極的に活用し、計画的かつ効率的に点検や補修を実施することなどにより、インフラの老朽化対策を着実に進めてまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 山口県の英語教育についてのお尋ねにお答えします。 グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な場面で必要とされており、児童が将来の可能性を広げるために、小学校において英語を自然に身につけられるようにすることは重要であると考えています。 このため、県教委では、小学校外国語の教科化全面実施以降、授業改善の推進と指導体制の構築に取り組んでまいりました。 具体的には、各学校で設定した学習到達目標に基づき、児童の発達の段階に応じた計画的な授業が行われるよう、小学校教員を対象とした研修会を開催するなどの支援をしてまいりました。 また、高い専門性を有する小学校英語専科教員をこの三年間で延べ八十九名配置し、配置校を中心に質の高い英語教育を推進するとともに、県内七地域の研究指定校において、小・中・高が連携した授業研究会を毎年開催し、教員の英語指導力の向上にも取り組んできたところです。 こうした取組により、今年度の県の調査では、英語の授業が好きと答えた児童は七割近くに上っているほか、小学校で英語教育を受けてきた中学三年生のうち、英検三級程度以上の生徒の割合は五○%を超え、国の目標を上回るなど、一定の成果が上がっていると考えています。 今後は、児童が英語を用いて互いの考えや気持ちを伝え合う活動をより活発にするため、研修会の充実や公開授業の積極的な開催等により、各学校における授業改善の推進に努めてまいります。 さらに、県内全小学校に配付している外国語のデジタル教科書の活用を積極的に進め、音声や動画などを取り入れた授業を展開し、児童が英語になれ親しみながら学習意欲を高めることができるよう取り組んでまいります。 県教委といたしましては、引き続き市町教委や各学校と連携しながら、本県の将来を担う全ての子供たちが英語学習に対する興味・関心を高め、生涯にわたり様々な場面で英語を活用し、世界中の多様な人々と交流を深めることができるよう、英語教育の充実に努めてまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時四十八分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ─────────────
    △日程第一代表質問 △日程第二議案第一号から第六十一号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 井上剛君。    〔井上剛君登壇〕(拍手) ◆(井上剛君) 皆さん、こんにちは。民政会の井上剛です。 早速ですが、会派を代表し、県政の諸課題に対し質問させていただきます。 まず初めに、新たな未来と来年度予算編成についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の広がりで、二○二○年からの三年間は、感染症との闘い、そして感染症で低迷する社会経済を持ちこたえさせる対応が主でした。 それに加えて、パンデミックが始まり、世界的にリモートライフへの移行が進んでいったことからの半導体不足、そして昨年には、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー価格の上昇、さらに一時は三十二年ぶりとなる円安基調が追い打ちをかけ、原材料、食料、生活用品などあらゆる物の価格が高騰し、県内の事業者をはじめ県民生活にも大きな影響を及ぼし、目の前に降りかかる問題の対応に追われる日々が続いています。 知事は、昨年十月に発表された予算編成方針で、現時点で約九十六億円の財源不足額が見込まれており、新たな未来を見据えた県づくりを積極的に進めるため、選択と集中の観点から、真に必要な施策に限られた財源を集中投資する必要があると表明されました。 そして、昨年末に発表された二○二六年までの五か年を計画期間とする、やまぐち未来維新プランの中でも、コロナ禍による人々の意識や価値観の変化への対応や、社会経済全体の構造変革の必要性に対し、三つの維新をさらに進化させ、新たな未来に向けた県づくりを進めていくと言われています。 私ども民政会は、直面する新型コロナウイルス感染症や物価高に対し、県民の命と暮らしを守り、県内経済を下支えしていくことはもちろんのこと、限られた財源ではありますが、長期的な視点に立ち、少子化対策、若者世代にとって魅力ある山口県づくりをしっかり行っていただくよう、十一分野九十五項目からなる改善・取組を要望させていただきました。 政府は、この五月八日から、新型コロナウイルス感染症に対する感染症法上の分類も二類相当から五類に変更することとしており、我が会派としては、これまでの感染症との闘いから軸足を新たな県づくりに移すべき時期だと考えているからです。 世界がデジタル化や脱炭素化、そして、この三年間で経験した外部環境変化へ柔軟に対応できる体制づくりであるレジリエンス強化が進む中、本県が活力にあふれる県として発展し、新たな未来を切り開いていくために、どう対応していくのかをしっかりと考えなければなりません。 以前にも御紹介しましたが、企業の今日の収益は十年から十五年前の経営陣の成果と言われています。トップ陣が十年、二十年後をしっかりと見据えて計画し、行動しなければ、将来にはつながらないのです。 県は、中期的な観点から実効ある施策を進めていく必要性から、総合計画と実行計画の性格を併せ持つ計画期間を五年間とした、やまぐち未来維新プランを発表されました。 その中で、三つの維新に沿って、おおむね十年後の目指すべき将来像が示されていますが、まだまだ漠然としたものです。 私は、大きく変化しようとする時代だからこそ、将来を見据えた山口県の長期ビジョン、目標が必要だと考えています。 それに向かう中で、その時々の情勢によって実施すべき施策の優先順位決めや、選択と集中や目標修正をすべきで、そうしたものが中期計画として反映されていくべきだと考えています。 そこでお尋ねします。知事は、新たな未来における本県の姿を具体的にどのように描いていらっしゃるのか。そして、やまぐち未来維新を進める中で、来年度はどういったものに選択と集中させるべく予算編成を行ったのか、お伺いいたします。 次に、ウイズコロナ社会の形成についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の昨年からの第八波では、一月六日には、一日の感染者数では過去六番目に多い二十四万六千七百二十七人となり、一日の死者数では一月十四日に過去最高の五百三人にもなりました。 ウイルスも弱毒化していると言われていますが、基礎疾患のあった方が感染をきっかけとして持病が悪化し、お亡くなりになるケースが増えています。 オミクロン株が主流となった二○二二年一年間で三万八千八百八十一人の方が亡くなられており、致死率は約○・一四%です。よく比較される季節性インフルエンザの致死率が約○・○六%と言われていますので、まだまだ恐ろしい感染症だと言えます。 特に心配するのが、二十歳未満の若年者が亡くなる症例が増えていることと、七十歳以上の高齢者の方の致死率が高いことです。 オミクロン株が流行する前までは、十歳未満の感染者で死亡した例は確認されず、十歳から二十歳未満でも三人でした。しかし、オミクロン株が流行した昨年に入ってから、二十歳未満の方の死亡する報告例が相次いでいます。 今年の一月十二日には、神奈川県で基礎疾患のなかった五歳以下の未就学の女の子が新型コロナウイルスによる急性脳症で死亡しました。十日に発熱の症状があり、翌日に小児科の外来を受診して新型コロナウイルスの感染が確認されたということです。このときは発熱以外の症状はなかったために帰宅しましたが、十二日の未明にけいれんを起こし救急搬送されましたが、助けることはできませんでした。発症からたった二日で死に至ったのです。 国立感染症研究センターによりますと、二○二二年一月から九月三十日の間で、新型コロナウイルス感染後に亡くなられた二十歳未満の方の死亡例の報告は六十一例あります。その中で、実地疫学調査ができた中で、内因性死亡と考えられる五十例を見ますと、基礎疾患がなかった方が二十九例になっています。多くが、急性脳症などの中枢神経系の異常、急性心筋炎や不整脈などの循環器系の異常によって急激な経過をたどり、発症から一週間未満に死亡した方が七五%にも及んでいます。 また、ワクチン接種対象年齢となる五歳以上の二十六例では、未接種が二十三例、二回接種が三例でした。二回接種を受けた三例とも十二歳以上であり、発症日は最終接種日から三か月を経過していました。こうしたことを考えると、若年者へのワクチン接種の有効性が言えます。 また、全国網羅的な医療データベースであるレセプト情報・特定健診等情報データベースで、季節性インフルエンザとオミクロン株による七十歳以上の方の致死率を見てみますと、オミクロン株が一・二%で季節性インフルエンザの約一・三倍であります。 そうした中、いよいよ五月八日から感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同等の五類へ変更する計画です。コロナと共存し、経済を活性していくためには必要な判断だと認識しています。 ワクチン接種費用の助成など、当面の対応については協議中であります。マスク着用などは個人が判断しての対応となりますが、課題の一つが医療体制です。 今までは院内で感染対策を取った発熱外来を中心に受け入れていましたが、五類へ変更となると全ての医療機関で対応が可能となります。しかし、今まで受け入れていなかった医療機関では、新型コロナウイルス感染症の対応経験がないことから、先ほど御紹介したような急激な症状の悪化の予見や対応に不安を持っています。したがって、安心して引下げに対応するには、今まで受け入れていた医療機関との情報共有や連携も必要となってきます。 また、感染者や濃厚接触者に求められていた待機などの行動制限はなくなりますので、感染が判明したときには、季節性インフルエンザと同様に周囲に広げない行動が必要です。 しかし、入院や検査の費用に自己負担が生じることになれば、受診控えから感染発覚や治療が遅れ、それが感染拡大や重篤化を招くことにもなりかねません。 また、季節性インフルエンザは高熱や関節痛、全身の倦怠感など特有の症状が出ますが、新型コロナウイルス感染症は、無症状もしくは比較的風邪の症状に近い方もおられ、感染に気づかず、感染を拡大させてしまうことも十分に考えられます。 そのために、五類に変更した当初は、気軽に自分自身で検査キットを使って判定ができる環境をつくっておく必要があると考えます。 特に高齢の方は致死率が高いので、高齢者施設には検査キットを常備させるような支援も必要と考えます。 また、二十歳未満の方が亡くなった事例からも、若年者にワクチンを積極的に接種していただくために、県として財政支援することや接種促進の方策も考える必要があると思います。 そこでお尋ねします。一日も早く日常を取り戻して経済活動をしっかりと回していける社会を形成していくため、新型コロナウイルス感染症の分類の五類への変更を見据え、どのように県民が安心できる医療体制と感染拡大防止措置を取るのか、お伺いいたします。 次に、人口減少・少子化への対応についてお伺いいたします。 私は、この問題を議員になった当初から取り上げ、今回で九回目になります。我が国は、人口減少・少子化に歯止めがかからないどころか、加速化しています。その上、二○二四年から年間百五十万人以上が亡くなる多死時代に突入することから、この少子化の進展は国の存亡にも関わりかねない問題です。 そうした状況を危機的と判断し、岸田総理も今年の年頭記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦することを表明しました。今後、具体的な政策が期待されるところです。 人口減少・少子化を食い止めるためには、思い切った政策が必要です。 県では、来年度の予算で社会保障施策への経費として千二百三十六億円を計上し、そのうち子ども・子育て支援の充実として約八十九億円を充てられていますが、消費税が引き上げられた令和二年度当初予算からほぼ横ばいです。県の少子化対策の本気度を示すには、少し残念な気がしています。 本県では、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができるよう、社会全体で子供と子育て家庭を支える県づくりを進め、みんなで子育て応援山口県を推進しています。しかしながら、少子化は止まることなく、二○二一年の出生数は七千九百七十八人と前年から二・七%減少し、この十年間で約三割も減りました。 日本では、子育て給付金や北欧などのネウボラなどを参考とした子育て支援策など、女性が働きながら子育てする少子化対策を進めてきました。 国勢調査による女性労働力率と合計特殊出生率数を見てみますと、鍵っ子という言葉が生まれた頃の一九六○年の女性労働力率は約五○%で、一九九○年と変わりませんが、合計特殊出生率は二・○から一・五四と大きく減少しました。 そして、二○二○年の女性労働力率は約五三%ですが、合計特殊出生率はさらに一・三三まで低下しています。この間での未婚率を見てみますと、三十歳から三十四歳までの男性の未婚率は、一九六○年に約一○%が二○二○年には約五二%へ、女性も二十五歳から二十九歳まででは約二二%が約六六%になり、三十歳から三十四歳まででは約九%が約三九%にまで上昇しているのです。 つまり日本においては、未婚率の上昇が少子化を加速していると言えます。 そういったことから考えますと、子育て支援も必要ですが、少子化対策で今最も必要なことは、若い方が結婚に希望を持ち、結婚を希望する方々が安心して結婚できる社会をつくっていくことだと言えます。 本県の県民意識調査結果を見ますと、未婚者の結婚に対する考えについては、いずれ結婚したいが五○%を超え、一生結婚しないという結婚に否定的な考えは七・四%にとどまっています。 では、なぜ結婚に踏み切れないのか。内閣府の調査によりますと、二十代、三十代の方では、適当な相手にまだ巡り会わないから、経済的に余裕がないからが上位となっています。 そして、どんな対策が結婚を希望する未婚者のために重要だと考えているかで見ますと、雇用対策をもって安定した雇用機会を提供する、賃金を上げて安定した家計を営めるように支援する、夫婦が共に働き続けられるような職場環境の充実が上位となっています。 こうしたことを踏まえた、官民が一体となった結婚支援策をもっと充実していかなくてはならないと考えます。 本県の結婚に対する取組を見てみますと、結婚支援センターの開設・運営や婚活イベントなど出会いの場をつくることを主として六分野の事業を行っていますが、企業や団体と連携した事業は少ないようにうかがえます。 他県を見てみますと、福井県では、企業・団体との連携も含め十二分野の事業を行っています。 やまぐち未来維新プランの目標に、やまぐち結婚応縁センターの引き合わせ実施件数を取り上げていますが、全体の婚姻数も取り上げたほうがよいと考えます。 県として、少子化を食い止めるために結婚支援をどのように考え、結婚を希望する方々が安心して結婚できる社会をつくっていかれるのか、お伺いいたします。 次に、雇用創出に向けた企業誘致の推進についてお伺いいたします。 人口減少社会にあり、かつ急速に高齢化が進行する中で、県の活力を上げていくには、雇用を生み出す積極的な企業誘致を進めていくことが必要です。 本県では、成長分野である医療関連分野の産業集積の推進をはじめ、積極的な企業誘致の展開により、二○一四年から二○二一年で二百十二件の企業誘致と五千二百四十一人以上の雇用を生み出しました。二○二二年も四十社の誘致実績であり、関係する方々の御尽力に敬意を表します。 帝国データバンクによる本社移転に関する動向調査によりますと、二○一二年から二○二一年の十年間で山口県へ転入した企業は百六社、山口県から転出した企業は百十三社であり、七社の転出超過でした。しかし、二○二一年は転入が十五社、転出が十一社で四社の転入超過になっています。 新型コロナウイルス感染拡大により、企業に対して従業員の働き方やオフィスの在り方の再考を促すきっかけとなり、本社機能の地方移転が進んでいます。 二○二二年一月から六月の首都圏への本社移転動向は、四十四社の転出超過であり、同年同時期の十四社から大幅に増加し、企業本体の首都圏外への動きが加速しています。そして移転先も三十七都道県となり、より遠方・広範囲へと広がりを見せています。 さきにも申しましたが、世界でデジタル化や脱炭素化、そしてレジリエンス強化が進んでおり、国内だけではなく、海外からの投資誘致も活発化してきています。 熊本県菊陽町には、台湾の半導体世界最大手TSMCさんが工場進出を決め、それにより、同町と周辺自治体への進出を希望する企業が相次いでいます。熊本県の地下水の豊富さと交通アクセスのよさが進出の決め手と言われています。 本県も良好な交通アクセスや風水害や地震の少なさから、リスク分散の適地、東アジアのゲートウエーとしての港湾など、十のセールスポイントを上げています。県は、さきに申し上げた産業界の変化に対応すべく、産業戦略部と商工労働部を統合し、新たに産業労働部を設けることとしています。 そこでお尋ねします。国内外で起きている環境変化をチャンスとし、雇用創出に向けた企業誘致の推進について、新たな部でどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用についてお伺いいたします。 コロナ禍や為替、エネルギー問題など不安定な状況が続く中で事業再構築をするなら、売り方の改革をするのが一番手っ取り早い方法と言われています。コロナ禍で売上げを伸ばしている企業は、新しい商品やサービスをつくっているのではなく、売り方を変えているケースが多いのです。今ある商品の売り方や営業の仕方などの演出を変えることで、生産性のアップを図っています。そうした中の代表的なものが、ふるさと納税の返礼品でもあるのです。 私は、六年前の二月議会や十一月議会などで、選んでもらえる自治体になることが厳しい財政を支えることになるだけではなく、来県のきっかけや県の特産品の販路拡大にもつなげることができると訴えてきました。 それに対する当時の県の答弁は、市町と競合を避けるために特産品などを返礼品にしないということでした。私自身は、市町と競合になるのではなく、相乗効果が生まれると考えていました。 そして令和二年八月から意見が取り入れられ、山口県の魅力発信コースとして、外部のふるさと納税サイトを活用し、特産品や旅行クーポンの提供をはじめ、現在では特産品五十六品目、旅行クーポン三十三品目をそろえています。 その効果もあって、令和元年度、七十件約七百八十三万円の寄附だったものが、令和三年度には、三千四百五十八件約一億五千二百二十九万円の寄附受付となりました。 全国のふるさと納税の受入額は、コロナ禍による巣籠もりによる需要増加により、令和元年度実績が、二千三百三十四万件で約四千八百七十五億円だったものが、令和三年度には、四千四百四十七万件で約八千三百二億円とほぼ倍増しています。 ふるさと納税の返礼品には、食品を中心に自宅で楽しめるものが豊富にそろっているため、コロナ禍でこうした返礼品に再度注目が集まったのです。 さらに近年では、冷凍技術の進化は著しく、CAS冷凍やプロトン凍結といった技術で瞬時に凍らせることで、お店の味をそのままお届けするといった商品まで出ています。 外食自粛などで売上げを大きく落とす地域事業者・生産者が多い中、地域で事業を継続するため大きな助けになると、今後もふるさと納税は大変有効だと考えています。 市町と連携し、苦しんでいる事業者さんが参加しやすい支援を実施することで、新しい販路開拓への支援をしていくことは、事業再構築の手助けにもなると考えます。中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用に対する県の御所見をお伺いいたします。 最後に、安心・安全社会の実現についてお伺いいたします。 警察庁の発表によりますと、刑法犯認知件数は二○○二年をピークに減少をし続け、過去最少を更新してきましたが、昨年は、警察が把握した刑法犯認知件数は、前年より五・九%増えた約六十万一千三百件と二十年ぶりに増加となりました。 新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除されたことから、自転車の窃盗や傷害、暴行など街頭犯罪が二十万件を超え、前年から一四・四%増加につながったとしています。 また、サイバー犯罪では、ランサムウェアによる被害件数が前の年から五七・五%増えたほか、インターネットバンキングの不正送金の被害が十五億円を超え、三年ぶりに前の年を上回りました。 特殊詐欺事件についても、認知件数、被害額ともに前の年より増加しています。手口としては還付金詐欺が全体の二六%を超える一方で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺も増加傾向にあります。 そして、岩国市でも被害が確認されましたが、去年から相次いでいます一連の広域強盗等事件では、SNSでお金が欲しい若者を闇バイトへ誘い、身分を把握することで抜け出せないようにする凶悪な犯罪も出てきています。 そうしたことから、警察庁が行ったアンケートでは、この十年間で治安が悪化したとの回答が六割を超えたそうです。 昨年の本県の刑法犯認知件数は、三千八百四十五件と前の年より○・七%減少しました。本県では、二○○二年の二万五千六百七十五件をピークに二十年連続で減少し、戦後最少の記録を更新中です。検挙率は、二○○二年四三・一%から昨年は約六二%と上昇し、特に強盗や放火・殺人といった重要犯罪の検挙率は九六・三%、重要窃盗犯の検挙率も全国一位の一一八・八%であり、県警察皆様方の御尽力に感謝します。 検挙率は上昇してきていますが、ここ数年は同レベルであり、件数が大幅減少したことを考えると、事件が巧妙化・複雑化してきていることがうかがえます。 犯罪を抑止するには、犯罪を起こしにくい雰囲気づくりがとても大切です。刑法犯認知件数が多かった二○○二年頃の警察の役割は、犯人を捕まえる検挙が主体となっていました。しかし現在は、被害者を生まないための犯罪抑止の活動がとても重要です。 赤色灯を常時点灯させたパトロールは、街頭犯罪抑止などにとても有効であると考えています。それに加えて、地域のパトロールなどを担う住民らによる防犯ボランティアの方の活動や防犯カメラの設置が寄与していると考えます。 防犯ボランティアの方は、令和四年で二万三千二十四人いらっしゃいますが、高齢化から平成二十七年の三万五千四百六十一人をピークに年々減少しています。若い世代の方にどうやってこの活動を広め、参画していただくかが鍵です。 また、近年の犯罪の検挙には、町なかに設置されていた防犯カメラやドライブレコーダーの映像が犯人逮捕の決め手となっています。 さきにも御紹介した広域強盗等事件により、とても凶悪な犯罪が身近に迫っているとの恐怖心から、自宅に防犯カメラを設置する家庭が急増しているそうです。 山口県内には、昨年までに各地商店街や民間企業などを中心として、約七千四百か所で防犯カメラが設置されています。警察設置のものは、犯罪が多く発生する繁華街や歓楽街を中心に設置し、報道によりますと二○一八年度末で、三十都道府県で設置台数は千九百十二台あります。しかし、山口県警の設置は現在ありません。 これまで設置のなかった熊本県警では、二○二一年度から安心・安全を高めることで地域の魅力向上につなげようと、県内の小学校区や商店街に防犯カメラの設置・運営を始めました。カメラの近くの路面には、防犯カメラ設置区域熊本県警察の文字を入れたカラフルな表示を施し、警察の目が光っていることを知らせています。 防犯カメラの有効性から、官民が一体となって設置を促進し、ネットワーク化していくことで、犯罪の検挙率アップと犯罪抑止を推進することが今後重要だと考えます。 こうしたことを踏まえ、地域全体で防犯意識を高め、犯罪抑止された安全・安心社会の実現に向け、県警察としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 以上で代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 井上議員の代表質問にお答えします。 まず、新たな未来と来年度予算編成についてのお尋ねです。 人口減少の進行をはじめ、新型コロナウイルスへの対応やデジタル化、脱炭素化等の社会変革など、今、県政を取り巻く環境は大きく、急速に変化しています。 こうした中、私は、様々な社会変革の先にある新たな未来を見据え、県づくりの取組を力強く前へ進めていくため、昨年十二月、新たな総合計画、やまぐち未来維新プランを策定しました。 このプランには、県づくりを進めるに当たり、単にコロナ前に戻すのではなく、安心・安全や経済のレベルをより高めていく、また、地域や人と人とのつながりをより強固にすることなどに未来志向で取り組むという、私の考えを盛り込んでいます。 こうした県づくりを県民の皆様と共に進めていくに当たっては、その前提として、変化のスピードが速く、長期にわたる将来を明確に見通すことが難しい中にあっても、目指すべき県の将来像を描き、共有していくことが重要となります。 そのため、例えば、産業維新における社会変革への対応については、産業のあらゆる分野でデジタル技術が普及し、生産性が向上するとともに、新たなビジネスモデルやサービスが生まれている等、三つの維新の先に見据えるおおむね十年後の将来像を二十六の分野にわたって描いたところです。 私は、こうした将来像を念頭に、本県の強みを生かし、潜在力を引き出して大きく伸ばしながら、三つの維新をさらに進化させることにより、山口ならではの豊かな未来を実現していく考えです。 こうした考えの下、新たな県づくりを本格的に始動する来年度の予算においては、選択と集中の観点から、プランに掲げた四つの視点に沿って、より高いレベルの安心と成長につなげることに重点を置いて編成を行いました。 まず、安心・安全の確保に向けては、コロナの経験を踏まえ、将来にわたって県民の命と健康を守る取組の充実強化として、県立総合医療センターの抜本的な機能強化に向けた取組などを進めます。 デジタル実装の加速化については、DX推進拠点「Y─BASE」を核に、様々な主体へのDX支援のさらなる強化や広域展開に加え、県民の皆様にデジタル化の効果を実感していただけるよう、県政の各分野・各地域でのデジタル実装の取組を重点的・集中的に推進します。 脱炭素社会の実現については、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向け、コンビナート企業などの二酸化炭素排出削減や、産業関連の設備投資・研究開発を支援するほか、県有施設における脱炭素の推進などに取り組みます。 人づくり、新たな人の流れの創出については、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援や本県の未来を担う人づくりの取組の充実強化、コロナ禍で希薄化した人と人とのつながりや交流を再生し、地域の活力を創出する取組などを進めていきます。 私は、今後、こうした取組を着実に推進することにより、安心で希望と活力に満ちた山口県をつくり上げてまいります。 次に、ウイズコロナ社会の形成についてのお尋ねにお答えします。 私は、新型コロナの感染が本県で初めて確認されてから三年間、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係機関との緊密な連携の下、社会経済活動との両立を図りながら、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいりました。 こうした中、今般、国は、五月八日から新型コロナの感染症法上の位置づけを二類相当から五類に変更することを決定し、現在、具体的な取扱いの検討が進められているところです。 五類への変更により、自主的な感染症対策がベースとなることから、今後は、お示しのように、幅広い医療機関で診察を受けることができる医療体制の確保と、検査やワクチン接種などの感染拡大防止対策が重要であると考えています。 まず、医療体制については、これまで医療関係団体とともに積み上げてきたノウハウや連携体制を生かし、他の疾病と同様に、身近なかかりつけ医等、広く一般的な医療機関で安心して受診できる医療提供体制を確保してまいります。 具体的には、コロナ診療の経験がない医療機関においても、感染対策を講じながら適切に対応できるよう、ゾーニングに必要なパーティションの設置や防護具の配備など、必要な院内感染対策について支援するとともに、圏域会議等を通じてコロナ診療のノウハウを共有していきます。 次に、感染拡大防止対策については、県民の皆さんが必要に応じて自己検査が実施できるよう、検査キットの安定供給や市場価格の引下げ等を全国知事会を通じて、引き続き国に要望してまいります。 なお、重症化リスクの高い高齢者等に対しては、感染を早期に発見し、適切な診療につなげることが重要であることから、高齢者施設等の従事者を対象とした検査を継続して実施していきます。 また、ワクチンについては、重症化予防等の効果が期待できることから、若年者等も含め、希望する全ての方が接種を受けられるよう、引き続き、市町や医療関係団体と一体となって接種体制を確保するとともに、ワクチンの効果や接種時期等について情報発信してまいります。 さらに、五類変更後の医療費やワクチン接種の自己負担については、受診控えや接種控えにつながらないよう、負担能力に配慮した医療費等の公費負担の継続について、全国知事会を通じて国に要望しているところです。 私は、日常を取り戻す新たな段階へと歩みを着実に進めていくため、今後とも、市町や関係機関としっかりと連携し、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。 次に、人口減少・少子化への対応についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、その主な要因としては、未婚化・晩婚化が上げられており、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち結婚応縁センターを核として、出会いから成婚までの一貫した支援に取り組んでおり、これまでもAIによるお相手の提案やオンラインによるお見合いの機能を追加するなど、会員の利便性の向上を図り、八千件を超える引き合わせを実現してきたところです。 また、社会全体で結婚を応援していくことが重要であることから、結婚を希望する従業員の縁結びをサポートする、やまぐち結婚応縁企業や、新婚世帯等が優待サービスを受けられる結婚応援パスポートの協賛事業所の登録を促進するなど、官民が一体となった結婚支援に取り組んでまいります。 こうした中、若い世代の結婚や家族を持つことに対する意識と価値観の多様化や結婚意欲の低下、加えて長引くコロナ禍の影響による出会いの機会の減少など、結婚を取り巻く環境も変化してきています。 こうした状況に的確に対応するため、やまぐち未来維新プランにおいて、重点的に施策を進めるプロジェクトの一つに、結婚、妊娠・出産、子育て応援を掲げ、社会全体で結婚の希望をかなえる取組をさらに充実させていくこととしています。 具体的には、まず、新たにボランティアによるやまぐち婚活応縁隊を結成し、地域のつながりを生かし、結婚を希望する方に結婚応縁センターの取組の紹介や入会促進など、結婚を後押しする取組を進めてまいります。 また、結婚に対する前向きな意識や、社会全体で結婚を応援する機運の醸成を図るため、山口きらら博記念公園において、学生によるウエディングドレスのファッションショーやVRによる模擬結婚式の体験など、ブライダル業界と連携したキャンペーンイベントを開催することとしています。 一方で、若い世代の結婚の希望をかなえるためには、お示しのとおり、安定した雇用機会の提供や結婚後も働き続けることのできる職場環境の充実も重要です。 このため、私は、企業誘致の推進などにより、新規雇用の創出を進めるとともに、若者と企業の出会いの場となる就職フェアを開催するなど、雇用機会の提供に取り組んでいます。 また、結婚後も安心して働き続けることができるよう、やまぐち働き方改革支援センターのアドバイザーの助言等による多様で柔軟な働き方の導入支援や、男性従業員の育児休業取得を促進するための奨励金の支給など、働きやすい職場環境づくりに向けた企業の取組を支援してまいります。 私は、結婚を希望する若い世代がその希望をかなえることができるよう、今後とも企業や関係団体等と連携し、出会いの機会の提供など、結婚支援の一層の充実に取り組んでまいります。 次に、雇用創出に向けた企業誘致の推進についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、雇用機会の創出や地域経済の活性化など、将来にわたり多面的な効果をもたらし、本県の活力の源となる産業力を大きく伸ばすことから、知事就任以来、自ら先頭に立ってその取組を強力に推進しています。 具体的には、トップセールスとして本県への立地を経営者層に直接働きかけるほか、大都市圏でのフォーラムの開催や効果的な情報発信の取組により、これまでに約二百五十社の企業誘致と五千五百人以上の雇用を創出したところです。 こうした中、コロナ禍を契機とした地方への拠点の分散化やサプライチェーンの強靭化、カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化への対応などを中心に、企業の設備投資は堅調に推移すると見込まれています。 私は、こうした企業の投資意欲を取り込み、産業力を一層強化することが県政の最重要課題である人口減少対策に資すると考え、やまぐち未来維新プランに戦略的な企業誘致の推進を掲げ、本県の立地優位性を最大限に生かしながら、誘致活動を展開することとしています。 まず、女性や若者に魅力ある雇用の場となる本社機能の移転に向けては、国や県独自の支援制度を活用した誘致活動により、大都市圏からの研究所の移転が実現するなど着実な成果を上げており、今後もその取組を加速してまいります。 また、DX、GXの進展に伴い投資が活発化している半導体や蓄電池等の成長分野の企業誘致に向けては、地域間競争に勝ち抜き、本県への誘致を実現するため、最大補助額五十億円となる、これまでにない強力な支援制度を創設します。 半導体、蓄電池分野は、部材や製造装置など裾野が広く、関連企業の進出も期待できるほか、コンビナート企業や高度技術を有する県内企業とも親和性が高く、脱炭素に取り組む県内企業との取引拡大などの相乗効果も期待できます。 このため、新たに、やまぐち半導体・蓄電池産業ネットワーク協議会を設置し、産学公が一体となって新規立地や企業間の取引拡大、人材育成などに取り組み、両分野の産業集積を進めてまいります。 また、誘致企業の円滑な操業に向け、新たに設置する産業労働部の機能を最大限に活用し、脱炭素化に向けた地域連携体制の構築や産業人材の育成・確保など、ワンストップで誘致企業の成長を促進してまいります。 私は、DXやGX等の変革の波を好機と捉え、県経済を牽引する優良企業の誘致により、雇用の創出や経済の活性化が図られるよう、自ら先頭に立って戦略的な誘致活動を展開し、成長産業の集積地やまぐちの実現を図ってまいります。 次に、中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用についてのお尋ねにお答えします。 ふるさと納税は、生まれ育ったふるさとへの貢献や自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度として平成二十年度に創設され、全国の多くの自治体で返礼品を活用した寄附の募集が行われています。 私は、このふるさと納税を単なる財源確保の手段ではなく、県と寄附者とのつながりをしっかりと構築し、山口県への応援や貢献をしてもらえる方の増加や、県内経済の活性化につなげていくことが重要であると考えています。 このため、「つながる。やまぐち応援寄附金」として、寄附者の共感が得られやすいよう、寄附金の使途を子育て支援や県立学校への応援などに絞って寄附の募集を行ってきたところです。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により打撃を受けた農林水産業、飲食業、観光業等の県内事業者を支援するため、令和二年八月から、寄附者に本県の特産品等を返礼品として提供する取組を開始しました。 返礼品については、県内市町の取組との競合を避ける観点から、県の施策や県内経済の活性化に資するものとして、県が開発や販売促進に関わっている日本酒や牛肉等の特産品や、来県を促す効果のある旅行クーポン等の体験・交流型のサービスを対象としています。 こうした取組により、寄附件数や寄附金額が大幅に増加するとともに、県外の方に向けて県産品や豊かな自然、美しい景観など、本県の魅力を広く発信することができているものと考えています。 また、返礼品を提供していただいた事業者からは、魅力ある地元産品を広く全国に向けて紹介することができる格好の機会となったとの声を頂いているところです。 私は、こうした成果を踏まえ、新たに策定したやまぐち未来維新プランにおいて、新たな人の流れの創出・拡大プロジェクトを掲げ、ふるさと納税を活用した関係人口の拡大に取り組むこととしました。 具体的には、本県の特産品や自然、文化を感じられる魅力的な返礼品を一層充実させることにより、ふるさと納税をきっかけとした本県への新たな人の流れの創出・拡大を図ってまいります。 また、企業においては、新たな事業展開に向け、商品開発や販路開拓は欠かせないものであり、全国に企業や商品をPRできる返礼品は、魅力ある販路の一つと考えられます。 このため、県の各種補助金や制度融資等により商品開発や販路開拓等を支援するとともに、市町とも連携しながら、県内の中小企業等が生産・開発する本県ならではの特産品等を返礼品として活用することを通じ、事業再構築に向けた取組を支援してまいります。 私は、今後とも制度本来の趣旨を踏まえ、ふるさと納税制度をしっかりと活用することにより、関係人口の拡大や県内経済の活性化を図ってまいります。 ○副議長(二木健治君) 中西警察本部長。    〔警察本部長 中西章君登壇〕 ◎警察本部長(中西章君) 安全・安心な社会の実現に向けた県警の取組についてのお尋ねにお答えします。 県警察では、関係機関・団体と連携して様々な犯罪抑止対策に取り組んでおり、その結果、昨年中の刑法犯認知件数が二十年連続で減少するなど、一定の成果を上げることができたと認識しております。 その一方で、全国と同様に、自転車盗や粗暴犯等の街頭犯罪が増加し、うそ電話詐欺被害についても依然高水準で推移していることから、犯罪の抑止と検挙対策を一層強化する必要があると考えております。 その中で、議員お示しのとおり、防犯ボランティア等の活動や防犯カメラの設置については、犯罪の抑止に有用であり、この種活動の活性化や防犯カメラ設置の促進が重要になります。 防犯ボランティア活動に関しては、若い世代に参画していただくため、広報の強化によるボランティア活動を周知するとともに、大学生ボランティアなど、若い世代のボランティア活動への勧奨や世代間交流に配意し、ボランティア団体の支援と活動の活性化を図ってまいります。 また、防犯ボランティア同様、うそ電話詐欺の水際対策に御協力を頂いている金融機関職員やコンビニエンスストア従業員などの県民の皆様が、昨年中、百六十六件のうそ電話詐欺を未然に防止されていることから、引き続き、協力者の功労を積極的に表彰させていただくなど、社会全体で被害を防止していく機運を高めてまいります。 防犯カメラに関しては、事件解決や犯罪抑止に大きな効果があることから、必要に応じて、事件・事故の発生場所付近の防犯カメラの映像を確認しており、その際は、管理者等への協力要請や法令に基づく措置など、適切に対応しております。 また、こうした防犯カメラと同様の効果のあるドライブレコーダーについて、県下のトラック、タクシー、バス、自動車学校等の関係団体と協定を結び、この利活用について連携を図っているところです。 引き続き、防犯カメラの設置場所の把握に努めるとともに、駅、商店街等の犯罪の発生が懸念される場所を中心に、自治体や事業者等に対して設置の働きかけを行い、官民一体となって防犯カメラの設置を推進してまいります。 県警察としては、地域の防犯意識を高め、今後も安全・安心な社会の実現を目指してまいります。 ○副議長(二木健治君) これをもって代表質問を終わります。   ───────────── ○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。    午後一時五十四分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   岡       生   子                   会議録署名議員   酒   本   哲   也...